人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。世の中の「グレイヘア」への認知度を一気に高めたナレーターの近藤サトさん。その根本にあるのは、子どもの頃から変わらない「私は私」という思いです。渋い好みと明るい嗜好を併せ持った少女はいつしか「テレビを創る側の人になりたい」と強く思うようになっていきます。

(1)渋好みの少女が「TVの中の人」に ←今回はココ
(2)「好きな仕事で勝負」42歳の転身
(3)50歳のグレイヘアがくれた自由


近藤サト
近藤サト こんどう・さと/1968年岐阜県生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業後、91年にフジテレビにアナウンサーとして入社。98年に退社後はフリーアナウンサーとして活動し、42歳からナレーターに。落ち着いた声質を生かし、『有吉反省会』(日本テレビ系)などのナレーションで活躍。2011年から日本大学芸術学部放送学科特任教授(非常勤)。18年に白髪を染めないスタイルでテレビ出演し、グレイヘアという選択肢を世に広めた。著書に『グレイヘアと生きる』(SBクリエイティブ)。

 20代から続けていた白髪染めをやめ、グレイヘアでテレビに出演したのが2018年5月。当初は、「グレイヘアなんて老けて見えるよ」と反対する人が多かったのですが、最近は、「若さにしがみつかない潔さがいい」と言ってくださる方もいて、グレイヘアが定着してきていることを実感しています。2019年に上梓(じょうし)した初めての著書が、グレイヘアをテーマにしたものになるとは思いもしなかったことですが。

 グレイヘアにすることを決めたのは、「私は私」という思いでした。この性格は子どもの頃から。例えば、小学生の頃のアイドルは近藤真彦さん、柴俊夫さんと舘ひろしさん、アルカイク・スマイルの仏像、弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)。好きなものは常に友達とずれていましたが、「私は私」だと気にしていませんでした。

アイドルに俳優に仏像……好きなものはいつも友達とはずれていたが「私は私」と気にしていなかった
アイドルに俳優に仏像……好きなものはいつも友達とはずれていたが「私は私」と気にしていなかった