人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。スタイリスト大草直子さんの第3回、中南米での自由な半年間を過ごして日本へ戻った大草さん。結婚、出産、離婚を経て精力的に仕事に取り組み、そして再婚。新しい家族の形と自由な生き方を見つけます。

(1)明るく活発な少女時代の「不登校」
(2)情熱注いだ雑誌の仕事を辞め、旅へ
(3)新しい家族の形、自由な生き方 ←今回はココ


大草直子
大草直子 1972 年生まれ 。大学卒業後、婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『ヴァンテーヌ』で編集のキャリアを積んだ後、南米へ遊学。帰国後、ファッション誌、新聞、カタログを中心にスタイリングをこなす傍ら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。WEBマガジン「mi-mollet」のコンセプトディレクター。新媒体「AMARC」を主宰。近著に『大草直子のNEW BASIC STYLE』(三笠書房)。ベネズエラ人の夫と3人の子どもがある。

 27歳のとき、就職浪人までして入りたかった会社を辞め、「今までの何かを壊さなければ」という、強迫めいた思いで自分を自由な場所に解放しようと、アメリカ経由でドミニカ共和国にイン。見知らぬラティーノたちと2000年のニューイヤーを盛大に迎え、メキシコ、キューバ、ブラジル、再びメキシコと、気の向くままに「ダンスとお酒」の放浪の旅をしました。

 半年ほど遊び歩いたこの経験は、キャラクター、価値観、仕事の仕方、人生の考え方……私のすべてを壊してくれました。引っ込み思案は影も形もなくなり、「楽しむことがすべて」と思い切り、女性であることの素晴らしさや美しさは、仕事でも、自分自身のおしゃれ、生き方においても表現していいんだ、と安堵したのです。祖母の具合が悪くなって帰国したのですが、濃くて熱いあの半年間の記憶は、今でも原色のまま私のなかにステイしています。そして、覚悟は確かに決まりました。「仕事をしよう。10年分遊んだから、10年は文句を言わずに働こう!

「今までの何かを壊さなければ」と南米へ放浪の旅。「10年分遊んだから、10年は働こう」と覚悟が決まった
「今までの何かを壊さなければ」と南米へ放浪の旅。「10年分遊んだから、10年は働こう」と覚悟が決まった