「男女平等」のスローガンは、経営者こそ掲げてほしい

見明 構造改革の鍵となるのは、4月から順次施行となった「働き方改革」ですが、忘れてはならないのが男性の存在です。ただ早く家に帰ることが重要なのではなく、女性が「育児も仕事も介護も全部やる」のでなく、家事のようなケア労働、アンペイドワークに男性も含めて従事してもらうことです。そのことで女性が働きやすくなり、財政を支える側の層が厚くなります。(※5)

羽生 急がば回れですね。

見明 IMF季刊誌『ファイナンス&ディベロップメント』の2019年3月号に、ラガルド専務理事が『今世界が取り組むべき緊急課題』という新しい記事(※6)を寄稿しています。それによると、ジェンダーギャップ(労働参加率、賃金格差等)を埋めればIMF調査対象国の約半数で35%のGDP押し上げにつながる、と述べています。労働現場に女性が加わることで、男性側も生産性が上がると言われている所以です。日本だけでなく多くの国で、女性という大事な資源を活用していくことが必要です。

羽生 IMFの新しい試算では、調査対象国中、男女平等の面で下位(半分以下)となった国々では、雇用の男女格差解消によってGDPが平均で35%増加する可能性がある、と。また増加分のうち7~8%ポイントはジェンダー多様性がもたらす生産性改善によるもの、とも指摘していますね。このような冷静かつ最新のデータ分析を見るにつけ、「男女平等」という言葉がフェミニストだけのものではなく、経営者こそ掲げるスローガンになれば、経済も文化も前向きになると思いました。詳しい解説をありがとうございました。

文/阿部祐子、羽生祥子(日経ARIA編集長)、写真/鈴木愛子