「365日外食」で京都の食シーンを知り尽くしたライター中井シノブさんが、とっておきの京都、そして旬の京都をお届けする連載。第5回のテーマは「B級グルメがおいしい店」。和食や高級なお店ばかりが京都じゃない。安くておいしい店がたくさんあるのが京都の底力なんです!

 「もうB級とは言わせない!」。京都のB級グルメは、料理人が気合を入れ、こん身の力を注いで作る秀逸な味が自慢です。地元京都人に愛されて10年のラーメン店、生麺にこだわり試行錯誤を重ねた焼きそば専門店など、今回は、食にうるさい京都だからこそ生まれた味をご紹介します。

 ランチにさくっと食べても幸せになれるハイクオリティーの麺料理。ひとりで気兼ねなく肉を満喫できるカウンター焼肉店、女性客も多いオシャレなギョーザ店など、おひとりさまにぴったりのB級を超える「街グルメ」をご案内しましょう。

カウンターでガッツリひとり焼き肉を

 焼き肉ほど、食べたい部位や焼き加減の好みが、人によって分かれる料理が他にあるでしょうか? 私はどちらかというと赤身やホルモンをさっと焼いて、ビールと味わいたいタイプ。けれど、先日一緒に行った友人は、カルビやロースを白ご飯と共にガッツリという人でした。もちろん、そんな二人で譲り合い、語り合いながら楽しく食べるのもいいのですが、ひとりなら何の忖度(そんたく)もなく、食べたい肉を好きなように味わえます。

 「焼肉 お富」は、2020年1月に惜しまれつつ閉店した昭和の焼肉店「さんきち」の店舗を生かし、その跡地に8月にオープンしたお店。店主のバッキー井上さんは、関西で人気の雑誌『Meets Regional』などのコラムでも知られる漬物店店主兼コラムニスト。焼き肉街だった裏寺の最後の店「さんきちをもう一度」という街の声に背中を押され、「お富」を開店することにしたのだそうです。

肉を焼くのは、店主のバッキー井上さん。街の先輩として京都の飲み助・食いしん坊に慕われる存在。タン塩(980円)やロース(1280円)の他、ナムル盛り合わせ(680円)などサイドメニューも(すべて税込み)
肉を焼くのは、店主のバッキー井上さん。街の先輩として京都の飲み助・食いしん坊に慕われる存在。タン塩(980円)やロース(1280円)の他、ナムル盛り合わせ(680円)などサイドメニューも(すべて税込み)
肉を焼くのは、店主のバッキー井上さん。街の先輩として京都の飲み助・食いしん坊に慕われる存在。タン塩(980円)やロース(1280円)の他、ナムル盛り合わせ(680円)などサイドメニューも(すべて税込み)

 肉は京都の名店「モリタ屋」から仕入れ、タレは人気焼肉店「アジェ」のオーナーにアドバイスをもらい、改良に改良を重ね作り上げたもの。バッキーさんは錦市場内(京都市中京区)の漬物店「錦・高倉屋」のほか、漬物がおいしい居酒屋「百練」を経営しているとはいえ、焼肉店は初めて。

 仕入れや肉の扱い方など難問が山積の中、なんとか開業にこぎ着けることができたのは、「さんきちを愛し、あの場所に焼肉店をと望む街の友人たちの助けもあったから」とバッキーさんは言います。

ホルモンをどっさりのせて勢いよく食べるのもいいし、ロースや赤身を1枚ずつ焼いてゆったり焼き肉を楽しむのも。おひとりさまならではの自由度を満喫できる。大根、ナス、キュウリ、キムチなどその時期の「漬物盛り合わせ」680円(税込み)
ホルモンをどっさりのせて勢いよく食べるのもいいし、ロースや赤身を1枚ずつ焼いてゆったり焼き肉を楽しむのも。おひとりさまならではの自由度を満喫できる。大根、ナス、キュウリ、キムチなどその時期の「漬物盛り合わせ」680円(税込み)
ホルモンをどっさりのせて勢いよく食べるのもいいし、ロースや赤身を1枚ずつ焼いてゆったり焼き肉を楽しむのも。おひとりさまならではの自由度を満喫できる。大根、ナス、キュウリ、キムチなどその時期の「漬物盛り合わせ」680円(税込み)