「365日外食」で京都の食シーンを知り尽くしたライター中井シノブさんが、とっておきの京都、そして旬の京都をお届けする連載が始まりました! 第1回は、中井さんが日常的に楽しんでいる「ひとり飲み」でお薦めのお店です。「京都でひとり飲み」は何となくハードルが高いイメージですが、意外にそうではないんだとか。肩肘張らずにひとり酒、ひとり食をしっぽり楽しめるお店を教えてくれました。
ひとり飲みの醍醐味を京都で見つける
例年ならば、京都の7月は祇園祭一色。街中を歩けば祇園ばやしが聞こえる時期です。けれど2020年の祇園祭は、最小限の神事のみが行われると発表されました。
祭の主役ともいえる神輿渡御や山鉾巡行はありませんが、神事を通して「人々の健康や平和を願う」という祇園祭の真意に変わりはありません。こんなときこそ京都の町を訪ね、ぜひ、その厳かな祈りに触れてください。
昔も今も女性のひとり旅といえばやっぱり京都。こんな時期だからこそ、いつもとは違う静かな京都を満喫できます。自然風景に溶け込む壮大な神社仏閣を鑑賞したり、京都でしか味わえない料理に舌鼓を打ったり。日々、頑張っている自分を褒めてあげるために、静かな京都で心休まるときを過ごしてほしい。
連載1回目のテーマは「ひとり飲み」の名店! ひとりの時間を豊かに楽しみ、新たな京都の魅力を発見してください。きっと「また来たい」と思っていただけるはずです!
京土産の定番、あのお菓子を使った料理がスペシャリテに
最初にお薦めしたいのが、2020年に開業、できたてほやほやの新店です。
京都の野菜や日本の風土で育まれた食材を大切にするイタリアン「fudo(京都市中京区)」の2号店「To.」がオープンしたと聞き、駆けつけました。2号店もイタリアンなのかと思いきや、なんと「どちらかというと居酒屋風」の店だといいます。ただし、オーソドックスな和食ではなく、イタリアンのテイストを何かしら盛り込んだ料理を出してくれるのだそう。ひとり客でも楽しめる小皿料理も多いというから安心です。
住所/京都市中京区御池⾼⽥町500 ポポラーレ御池1階
電話/075-708-3720
営/17時〜23時 休/木曜
店主の入江哲生さんは、京都の有名イタリアンなどで修業を積んだ人。料理に八ッ橋を使ったり、鯛だしのパスタ料理を創作したりと湧き上がるアイデアをどんどん形にしていくタイプの料理人です。2号店にもそのDNAは、たっぷりと引き継がれています。
友人宅のキッチンのようなカウンターに座ると、まず出されるのがお通しのフィンガーフード「八to橋」です。サクッとした八ッ橋と京鴨のレバーペーストの組み合わせは、意外だけれどぴったり。まずはこの料理の不思議な組み合わせに驚かされます。
他にも、イタリアのマルサラ酒で煮込んだ「豚の角煮」など、イタリアンかと思って食べると和食のテイストが利いた料理がずらり。一皿が程よい分量だから、ひとりでも何種類かの料理を注文できます。いい意味で期待を裏切ってくれる料理の数々に、ついついお酒をお代わり。初めてにもかかわらず、居心地のよさに腰を落ち着けてしまったほどです。