「365日外食」で京都の食シーンを知り尽くしたライター中井シノブさんが、冬に食べたい温かい甘味を教えてくれました。底冷えする京都だからこそ、食べたい珠玉の甘味です。

底冷えを吹き飛ばす京都の温かな甘味

 1月から2月にかけての京都は「底冷え」といわれる寒さに見舞われます。けれど、空気が透き通ってシンと冷えた京都の街もいいものです。寺院など名所やこの時期に美しい梅園を散策して体が冷えたら、温かな甘味でほっこり一息。体を芯から温めてくれる癒やしに身を委ねます。

 抹茶たっぷりの葛湯やいちごの酸味が効いた汁粉のほか、出来たての温かいわらび餅、湯気をあげるふわふわスフレ。それぞれに違った甘さや食感で、甘味好きを満たしてくれます。

 寒い冬に食べるからこそ、より一層そのおいしさが身に染みる。そんな甘味をご紹介しましょう。

抹茶葛と小豆がタッグ! とろりと温かな和スイーツ

抹茶とあんの組み合わせは最強! 抹茶くず湯950円(税込、1月~3月の期間限定)
抹茶とあんの組み合わせは最強! 抹茶くず湯950円(税込、1月~3月の期間限定)

 「茶寮宝泉」さんに最初にうかがったのは、いつごろだったでしょう? 確かちょうど今のように寒さが身に染みる時期だったはずです。知人から下鴨(京都市左京区)の住宅街に日本家屋を生かしたすてきな甘味処があると教えてもらい、下鴨神社へ参拝した折に訪ねました。そのときいただいたのは丹波大納言のおぜんざいだったのですが、湯気が立ち上がって、まずはその温かさに癒やされました。ほどよい甘みと大粒の小豆の食感と香りは、今も忘れられません。

 「茶寮宝泉」を営むのは、材料にこだわった和菓子づくりで知られる創業1952年の「宝泉堂本店」。丹波大納言などの最上級の材料で作るぜんざいのほか、本物のわらび粉だけを原料にしたわらび餅、季節の生菓子と抹茶のセットも人気の甘味処です。

 冬限定の「抹茶くず湯」は、「温かさをずっと楽しめる小豆の甘味を」と考え出されたそうです。溶かした葛に宇治抹茶をたっぷり練りこみ、小豆とからめた一品。抹茶葛と小豆を混ぜながら、双方のおいしさを味わいます。

さらっとしているのに味わい深い「白小豆のぜんざい」1180円(税込)
さらっとしているのに味わい深い「白小豆のぜんざい」1180円(税込)
さらっとしているのに味わい深い「白小豆のぜんざい」1180円(税込)

 丹波大納言ぜんざいとともに人気なのが、白小豆のぜんざいです。白小豆の粒を潰さないようにふっくらと炊き上げます。澄んだ汁の温かさがじんわりと体に染みわたっていくよう。近江のもち米をついて作った滑らかなお餅がまたおいしくて。香ばしく焼いた香りと小豆がよく合うのです。