「働き方改革」の名の下に、企業では時短勤務、テレワークが導入される一方で、リーダーにはチームとしての成果を厳しく求められます。今、リーダーに必要なのは「再現性が高く、生産性が高い時短術」です。529社16万人に対して1万8798時間をかけて働き方改革を支援してきた、クロスリバー代表取締役社長の越川慎司さんがデータに裏付けされた超時短術を解説します。全3回でお届けします。
(1)働き方改革の最大の敵はムダな社内会議 時短するには?
(2)アイデア会議で確実に成果を上げる 超時短ブレスト術
(3)時短が目に見えて進む! メールの「新ルール」 ←今回はココ
―― 毎日大量に送られてくるメールの対応に忙殺されるという声が、日経ARIAの読者から寄せられています。
越川慎司さん(以下、敬称略) メールの受信量は毎年8%ずつ増えているといわれています。実際、500社以上を調査した結果、84%もの企業がメールの取り扱いに苦労していることが分かりました。日々の業務のうち12%をメール処理に費やしていることも判明しました。
一方で、働く時間は短くしなければなりません。そこで、解決策は2つ。「メール自体をやめてしまう」「メールを処理する方法を変える」のどちらかになります。
―― メールをやめることができるのでしょうか。
越川 社内のメールを、できるだけビジネスチャットに移行するように勧めています。「Slack(スラック)」「Microsoft Teams(マイクロソフト チームス)」「Chatwork(チャットワーク)」などですね。チャットを利用することで、世界で最も無駄なメールといわれる「メールを見ていますか?」というメールを送る必要もなくなります。
とはいえ、会社ですぐにチャットを導入するのは難しいと思いますので、今あるメールを効率的に処理することが現実的な方法になります。企業22社でメールの流通量が増えている原因を調べたところ、メールマガジンや広告メールもさることながら、最も影響があったのは「CC(Carbon Copy)」だと分かりました。
メールのCCが増える原因は「過剰な気遣い」
―― CCが原因とは、どういうことでしょうか。
越川 過剰な気遣いで、関係者や上長など必要そうな人をCCに入れてしまうのです。「一応入れておいたほうがいいだろう」「課長も念のために入れておこう」などと、CCのメアドが増えてしまう。受け取った人は、どんどんスレッド(メールの一連のやり取り)が長くなります。参考のためにCCに入れた人が全員宛てに返信してきて収拾がつかなくなった経験がある読者は多いでしょう。
―― ARIAの読者には管理職、マネジャーの人も多いのですが、役職によって受け取るメールの量は変わりますか。
越川 26社を調査したところ、管理職、特に課長クラスがCCに入れられることが最も多かったのです。管理職側に聞いたところ「メールのやり取りによる結論だけ知りたい」という人が35%いました。そこで、不必要なCCはやめるべきだという結論になります。
―― どうすれば、やめられますか。