「働き方改革」の名の下に、企業では時短勤務、テレワークが導入される一方で、リーダーにはチームとしての成果を厳しく求められます。今、リーダーに必要なのは「再現性が高く、生産性が高い時短術」です。529社16万人に対して1万8798時間をかけて働き方改革を支援してきた、クロスリバー代表取締役社長の越川慎司さんがデータに裏付けされた超時短術を解説します。全3回でお届けします。

(1)働き方改革の最大の敵はムダな社内会議 時短するには? ←今回はココ
(2)アイデア会議で確実に成果を上げる 超時短ブレスト術
(3)時短が目に見えて進む! メールの「新ルール」

―― ちょうど1年前、2019年4月から「働き方改革関連法」が順次施行されました。時間外労働の上限規制の導入などが目玉でしたが、プレーイングマネジャーが多いARIAの読者からは、あまりいい評判を聞きません。なぜでしょうか。

越川慎司さん(以下、敬称略) 実は88%の企業が、働き方改革に失敗しているといわれています。多くの企業で時短勤務を推進した結果、売り上げが下がったり、社員のモチベーションが下がったりしているのが実情です。失敗の原因は「時短」を目的化したため。「定時で帰れ」、でも「成果は上げろ」というかけ声だけでは、うまくいくはずがありません。時短はあくまでも手段。時短をして、限られた時間で成果を出すには、まず無駄な仕事をそぎ落とすことが重要です。

―― 無駄な仕事とは何でしょうか。

越川 太っている人がダイエットをするとき、定期的に体重計に乗って無駄なぜい肉の量を確認しますよね。仕事のダイエットも同じように、内省(リフレクション)が大事です。1~2週間に一度、15分間だけ自分の仕事を振り返ってください。自分の手帳を見て、スケジュールを振り返ると、何に一番時間を費やしたのかが分かります。すると、無駄な仕事が浮き彫りになります。

1~2週間に一度15分間だけ、自分の仕事を振り返る

仕事の時間の4割以上は社内会議が占める

―― 多くのビジネスパーソンは、何に時間を浪費しているのでしょうか。

越川 私がこれまで関わった中の221社を調べてみた結果、各社とも似たような傾向がありました。最も時間を取られているのは「社内会議」。次いで「資料作成」「メールの送受信」と続きます。特に社内会議には、業務時間のうち43%も費やしていました。この会議で新たなビジネスが生み出されるのならよいのですが、実情は正反対。221社の中で「うちの会議はうまくいっていない」と回答した企業が75%もありました

社員はどのように時間を奪われるのか。社内会議43%、資料作成14%、メール11%、その他32%
越川さんがこれまで関わった中の221社を対象に調べた、社員の業務時間に占める作業の割合
目標を達成して成果が出た会議の特徴。1.目的が明確に決まっている。2.アジェンダ(検討課題)が事前に共有されている。3.必要な人が参加している。1つでも欠けた会議は成功確率が40%以下
成果が出る会議に必要な3つの条件とは?答えは次ページで