能登の伝統食材が、驚きのイタリアンに大変身!

山田祐子さん(以下、全て山田さん談) すっかり人気の観光地として定着した、金沢。「小京都」の異名を持ち、ARIA世代にも人気のエリアですが、金沢と同じ石川県でも能登と白山では異国というほど別物。それぞれに魅力があります。今回は海系と山系で1軒ずつ魅力的な宿を紹介しましょう。

 海系での一推しは、「能登のイタリアン民宿、ふらっと」。知る人ぞ知る、伝説の民宿「さんなみ」(2012年閉館)のDNAを引き継ぐ宿です。オーストラリア人のご主人、ベンジャミン・フラットさんが作る料理は本当に秀逸で、ここの料理目当てに海外から訪れるリピーターもいるほどの人気ぶり。能登の伝統食材がイタリアンに変身する驚きに加え、郷土の魚醤(ぎょしょう)、「いしり」を生かした料理が本当にどれも素晴らしくおいしくて、毎回感動します。

「いしりフレーバーの隠し味は、癖になります」
「いしりフレーバーの隠し味は、癖になります」

 いしりとは、新鮮な真イカの内臓と塩で作られる魚醤で、能登地方に昔から伝わる伝統的な発酵食材のひとつです。ふらっとで用いられるいしりはベンジャミンさんの妻、智香子さんの「さんなみ」を運営していたご両親から製法を受け継ぎ、3年ほど発酵熟成させた手作りだそう。私は朝、海餅(かいべ)というごはんにいしりを塗って焼き上げたものと、夜に野菜のポタージュにいしりを加えたクリームスープをおいしく頂きました。いずれも絶品でした。ダイニングからは能登の海を眺めることができます。風呂上がりに海をぼーっと眺めながらのビールはやっぱり最高です。

「いしりのおいしさにはまってしまい、自分のお土産として買って帰りました。あえ物にしたり、ドレッシングにしたり重宝しています」
「いしりのおいしさにはまってしまい、自分のお土産として買って帰りました。あえ物にしたり、ドレッシングにしたり重宝しています」
ベンジャミン・フラットさんと智香子さん。「ふたりの掛け合いが、たまらなく面白いんですよ」と山田さん
ベンジャミン・フラットさんと智香子さん。「ふたりの掛け合いが、たまらなく面白いんですよ」と山田さん

能登のイタリアン民宿、ふらっと
住所/石川県鳳珠郡能登町矢波27-26-3
電話/0768-62-1900
料金/1万8120円(ひとり泊まり/1泊2食サービス・税込)
檜風呂付き客室(一室限定)2万820円(ひとり泊まり/1泊2食サービス・税込)
チェックイン/15時 アウト/10時
*一日4組限定のため、電話で予約を