前回までは旅の達人、石井宏子さんにひとり旅の「はじめの一歩」を踏み出すためのアドバイスと、ひとり旅に最適な個性派「現代湯治宿」を聞きました。今回は大人の女性が心のぜいたくを満喫できる「ごほうび宿」3軒を紹介します。

 今回ご紹介する「ごほうび系」宿は「この空間にいる私ってすてき」と、思わず自分をたたえたくなる、そんな宿です。いずれも派手なサービスを売りにするのではなく、「365日、当たり前のことを当たり前にしているだけです」と謙虚な姿勢が魅力です。

 絶景や温泉、スパなど、たまに味わう非日常のシチュエーションでお疲れ気味のARIAさんを癒せる、そんなお勧めの3軒を紹介します。

ご来光と雲海。絶景を独り占めできる赤倉観光ホテル

石井宏子さん(以下、敬称略) 赤倉温泉(新潟県)は斑尾山(まだらおやま)を中心に連なる山々を正面に、右には神秘的な野尻湖や黒姫山、左には佐渡島を見渡せるロケーションにあります。大倉財閥2代目総帥、大倉喜七郎はこの場所から眺める絶景にほれ込み、標高1000mの妙高高原の中腹に高原リゾートホテルを建設しました(1937年)。その眺めをゲストがいつでも独り占めできるように視界に入る土地をすべて買い取ったといいます。とびきりの解放感と絶景は、まさにここでしか味わえない、ぜいたくです。

 運がよければ見られる雲海も大きな楽しみのひとつですが、なによりも露天風呂から眺める見事なご来光は格別。朝、茜色に染まっていく空を見上げ、山を見下ろしながら源泉かけ流しの温泉につかる。遮るものが何もない絶景を独り占めしてご来光を待つ。この感動の瞬間に出合うだけでも、訪れる価値があるというもの。大きな仕事を成し遂げた後の「ごほうび」としてもいいですが、大きな決断の前や、人生の分岐点などで自分を見つめ直したいときにもぴったりです。特にお勧めしたいのが、この絶景を独り占めできるマイ露天風呂付きのテラスルームです。

露天風呂付きのテラスルーム。「まるで絶景に浮いているような感覚を味わいながら、ご来光を仰ぐ幸せ」と石井さん。最も雲海が出やすいのは初夏(5月~7月中旬)、晩秋(10月下旬~12月上旬)とか。宿の詳しい情報は次ページに掲載