夫婦二人きりの暮らしが長くなってくると、休みの日の時間をだんだんと持て余してしまうこともあったり、なかったり…。だからといって、「マンネリ打開のイベントを!」などと肩肘張る必要はありません。変わりなく流れるゆるーい時間の中にも、意外といろいろな楽しみがあるものです。妻の実家がある愛知に拠点を移したフリーライターの大宮冬洋さんが、結婚8年目のDINKS夫婦の週末時間をリアルにつづります。

観光もできる産地 目指すは知多半島の常滑焼

 「大きな急須が欲しいね。常滑焼を買いに行こうか」

 1年ぐらい前から、わが家では来客用の大きめの急須の必要性が話題になっていた。普段は夫婦だけなのでスーパーで買った小さな急須で十分だけど、友人を数人呼んでの家飲みをするたびに「一度にお茶を出せないと不便だな」という気持ちを食後に共有して高めていたのだ。

 大きな急須もスーパーで売っている。でも、僕と妻の共通点は「飲食が大好き」のほぼ1点なので、食器を買う過程もデートの口実にしたい。わが愛知県は瀬戸物で有名だけど、知多半島には常滑焼もある。産地は観光できるようにもなっているらしい。いつものように妻の車に乗って出発だ!

 「お昼は焼き肉にしようか。一色の大園、安くておいしいと評判だよ」

 僕はおなかがすく前から次の食事が気になる。本当に空腹になると何も考えられなくなってしまうからだ。結婚8年目にもなると、そんな僕のアホ性質を妻は把握している。そして、外食では僕が財布を出すけれど、その中身は決して豊富でないことも知っている。だから、わが家のある愛知県蒲郡市から目的地の常滑市までの通り道でリーズナブルな焼肉店を調べておいてくれた。助かるなあ。

「焼肉大園」の個性的な店構え。招き猫は常滑焼の定番です
「焼肉大園」の個性的な店構え。招き猫は常滑焼の定番です