率直な感想とダメ出しは夫婦だからできること

 サンヨネの魚は品質がいいので、煮魚もたいていおいしくできる。妻にも同意を求めた。

 「お上手です。でも、もうちょっとコッテリと煮てもよかったかもね。次は、砂糖かみりんを増やしてみたら?」

 率直な感想とダメ出しができるのが夫婦の良さだと思う。またすぐに同じ料理を作って共有できるのだから、少しでもおいしくしたほうがいいに決まっている。

 今夜は、立石さんに選んでもらった南アフリカ産のワインを開けた。赤でも白でもなく、オレンジワインという種類らしい。確かにオレンジ色をしている。おお、これはうまい!

 「トロピカルフルーツみたいな香り。ほどよい酸味があって、後味はスッキリだね。和食と合わせると、酸味がより穏やかになる気がする。日本酒のようなベタつきもない」

 目の前で妻が品評をしている。うん、なるほど。言われてみるとそんな気がしてくる。

 「なかなかいいことを言うね。というか、オレもまさにそう思った。日経ARIAの原稿にもそうやって書いておくよ」

 「出た~。コメント泥棒!」

 あきれ顔の妻だけど目は笑っている。うまい酒、体に良い家庭料理、気の置けない相方。何の不満もない。食器は僕が洗うからコーヒーでもいれてくれる? 後は風呂に入って歯を磨いて寝るだけだね。週に1回ぐらいこんな気楽な夜があれば、これからも笑って生きていけるだろう。

煮魚(ガヤメバル)は僕が担当。妻が鶏皮焼き、水菜の柚子コショウあえ、卵とピーマンのジャコいためを作ってくれました。買ってきたオレンジワインで乾杯!
煮魚(ガヤメバル)は僕が担当。妻が鶏皮焼き、水菜の柚子コショウあえ、卵とピーマンのジャコいためを作ってくれました。買ってきたオレンジワインで乾杯!
今週末の助手席から
【行き先】 森田屋(酒屋)

【妻の楽しみ方】 もともとワインが好きだったけれど、結婚してからは日本酒も親しむようになった。おいしい銘柄をいろいろ試したい

【僕の楽しみ方】 人生のモットーは「いい酒・いいメシ・いい女」。今は自宅でそれがそろうので言うことなし!

文・写真/大宮冬洋