新型コロナウイルスの影響が経済に及んでいます。2020年第2四半期(4~6月期)は戦後最大の落ち込みになると予測されており、企業の赤字決算も相次いでいます。保有する株や投資信託などの金融資産が影響を受けたという人も。先の見えない状況で投資はすべきなのか、続けていくべきなのか? 過剰な不安を解消する投資への考え方をファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが教えます。

 コロナ禍の中で、経済の先行きに大きな不安を抱えている方は少なくないでしょう。実際、私がある企業に企業型確定拠出年金の研修で伺ったときに、資産残高が大きく下がったリポートをお持ちになり、「これからの資産形成はどうしたらよいでしょうか?」と質問をされた女性もいらっしゃいました。今回は、こんな状況で投資をどう考えたらいいのかについて、お伝えします。

「より良い暮らし」への欲求が経済を回す

 新型コロナウイルスの陽性者数が再び増加していることが報じられています。今重篤な状態で苦しんでいらっしゃる方、命を救おうと頑張っていらっしゃる医療従事者の方など、大変なご苦労をされている方がいることも理解した上で、少しだけ私たちの暮らしと経済について考えてみたいと思います。

 「暮らしは、なんとかなっている」という方が実は多いはずです。もちろん窮屈なところや、不便なところはあるでしょう。けれども、逆に便利になったところや、良さを再確認できたところはありませんか?

 経済活動は「より良い暮らしをしたい」という私たちの欲求が生み出すものですから、最近は日々の暮らしをより楽しむためのグッズ、電化製品、サービスが注目されています。飲食や観光は相当のダメージを受けていますが、「食」に関連する業態すべてが苦境に立たされているわけではありません。観光地は苦しい状況ですが、バーチャルで非日常を楽しもうという新しい動きもあります。

 つまり、困難はあったとしても人間の営みがなくならない限り、経済活動は行われていきますし、競争の中で残っていく企業のほうが去っていく企業よりは恐らく多いものなのです。

 ただし、コロナ禍において、経済は「ますます予測がしにくくなった」のは事実です。なにしろ相手がウイルスですから人間の予測通りに動くわけではありません。こうした状況で、先に登場した女性のように資産が影響を受けてしまい、投資を今後どうすべきか迷ってしまう可能性もあります。

 そこでお伝えしたいのは、「投資」には3つの種類があるということです。今後考えるべきなのはそのうちの1種類だけと言えます。