投資の対象となる「成長する価値」

 価値が成長するものの代表例は株式です。世の中に選ばれ、評価されるためには、世の中に役に立つモノやサービスを提供する会社にならなければなりません。そういう会社を選び、そして育てる行為が資産形成につながります。

 例えば、環境・社会・企業統治に配慮をする企業を選別しそこに投資をしようとするESG投資があります。国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)が、地球に住む私たちすべての目指すべき価値だとすれば、それを企業活動のプロセスとして見るESG投資が今後ますます注目されるであろうことは容易に想像できます。

 あるいは、米国のダウ(NYダウ工業株30種平均指数)は市場の変動に応じて積極的に入れ替えを行っている指数です。世界が直面するコロナ危機に立ち向かう成長企業としてダウが今後どこを選抜するのかも注目に値するでしょう。米国の経済をけん引するたった30銘柄がしのぎを削るダウですから、そこに選ばれた企業が結果としては世界経済をけん引することになるのではないでしょうか。

 具体例を2つ上げましたが、最も重要なことは「明日をもっと良くしていこう」という私たちの行動こそが「価値」の成長を支えるのです。

 先が見えないコロナとの戦いで、経済の先行きは不透明ですが、今この瞬間も世界のどこかで努力する人たちがたくさんいるはずですから、そんな彼らを応援する投資を通じて資産形成をしたいものです。

文/山中伸枝 写真/PIXTA