全国に出されていた緊急事態宣言が解除され、少しずつ経済活動が戻ってこようとしています。しかし、経済への影響が明らかになるのはこれから。家計の有事はまだ続きます。前回に続き、コロナ禍で想定されることへの家計の備えについてファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが指南します。

 会社員の場合、会社の休業などがあってもいきなり収入がなくなることはありませんが、緊急予備費を常日頃準備しておくことが大切です。これが、前回記事『新型コロナで会社から休業を要請されたら? 有事の家計』でお伝えした内容です。休業期間中は緊急予備費を少しずつ取り崩しながらも、厳しい局面を乗り越える胆力を鍛えることが前回の家計の筋トレでした。

 しかし、家計にとっての正念場はむしろポストコロナだといえるでしょう。なぜならば、収入の減少がじわじわと押し寄せてくる可能性があり、それでも暮らしを維持して長期的には収入を増やしていけるような家計の体力アップが必要だからです。

 今回のコロナ禍で仕事がリモートワークに切り替わったという方も少なくないと思います。テレワークやペーパーレスといった言葉は以前からありましたが、環境整備などが進んでいなかった会社も突貫工事でリモートワークに切り替えたというのが実態ではないでしょうか。

 緊急時におけるこうしたトライアルを機に、ポストコロナには本格的なリモートワークが広がることが予想されます。すると何が起こるのか? おそらくは業務評価や報酬を見直す企業が増えるでしょう。

 単純なところでは、通勤交通費が見直しの対象になります。どこに住んでいても仕事ができるのであれば、住宅手当もいらないかも知れません。リモートワークでの評価基準も整備され、これまでとは異なるスキルが求められて、今より給料が上がる人もいれば下がる人も出てくるでしょう。

コロナ禍がいったん落ち着いても、経済回復が遅れれば家計は正念場を迎える
コロナ禍がいったん落ち着いても、経済回復が遅れれば家計は正念場を迎える