長くなる人生、時には先の見えない状況や、想定外のリスクに直面することもあり得ます。暮らしの支えになる経済基盤は、強い家計があってこそ築けるもの。家計を鍛え直すプロセスをファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが指南します。

 人生100年時代と言われますが、長い人生を生きていくにはお金がかかります。体の寿命は延びましたが、お金の寿命はどうでしょう? 公的年金は最低保障ですから、豊かな人生を送るためにはお金の寿命を延ばさなければなりません。そのためには、「強い家計」が不可欠です。

 強い家計とは、お金が成長していき、残高が増え、日々の暮らしに安心と豊かさを与えてくれる家計です。

 最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で景気不安が起こっています。急激な経済環境の変化にも耐えられるように家計の「筋トレ」を今すぐ始めたいものです。

 家計の筋トレの対象は3つあります。1つ目が「支出」、2つ目が「収入」、3つ目が「運用」です。どれか1つに偏らずに、バランスよく鍛えることが肝要です。

無駄をなくす=ケチって節約、ではない

 支出面を鍛える第一歩は、家計の無駄をそぎ落とすことです。

 無駄をそぎ落とすというとケチケチした節約を思い浮かべるかもしれませんが、家計の筋トレは「賢く無駄を省いて、自分にとってより価値あるものにお金を振り替えたり、お金が成長する環境に回したりする」作業です。これは1日ではなかなか難しいので、できれば少し長めの期間を決めて完了してしまうのがコツです。

 自分の中で「無駄の見直しキャンペーン月間」などを設けて、意識してやってみるといいでしょう。専門家のアドバイスを必要とする保険の無駄の見直しについては、連載の中であらためて解説します。

「強い家計」とは、お金が成長し長い人生を支えてくれるもの
「強い家計」とは、お金が成長し長い人生を支えてくれるもの