時間に追われる忙しい毎日も、仕事でうまくいかないことがあったときも、「あの人」のことを思えば頑張れる…。いくつになっても「好き」は私たちにポジティブなパワーを与えてくれます。何かと責任を負う場面が多くなった今のほうが、日常とは別の世界にいる誰かを愛で、夢中で追いかけるひとときがより尊さを増すのではないでしょうか。ARIA世代の女性たちが、大好きな「推し」への愛をたっぷりと語ります。

 「アイドルというと、『作られたもの』『若さを搾取して、あとは使い捨て』みたいなイメージがあって、私はどちらかというと苦手だったんです。それが、彼女たちに出会ってすっかり変わりました

 一般的に「推し」の対象は異性が多いかもしれないが、インターネット関連の会社に勤める町田さん(仮名)のお気に入りは、女性3人組のNegicco(ネギッコ)。2003年に新潟市特産の「やわ肌ねぎ」をPRするために結成され、2019年で結成16年を迎えるご当地アイドルの草分け的存在だ。

「Negiccoのライブに行くと、いつもほっこりした気持ちになって癒やされます!」と話す町田さん
「Negiccoのライブに行くと、いつもほっこりした気持ちになって癒やされます!」と話す町田さん

渋谷系の音楽と思いがけないところで遭遇

 20代の頃からピチカート・ファイヴ、カジヒデキといった「渋谷系」のファンで、ライブにも通っていた音楽好きの町田さん。一方で、2000年代に入ってアイドルグループが続々と誕生し、男性ファンがこぞって握手会に出かける状況を冷ややかに見ていた。そんな町田さんがなぜNegiccoを推すように?

 きっかけは、思春期の娘がアニメ好きになったことだった。

 「私は子どもがやっている遊びを自分もやりたくなっちゃう性格で、娘が小さいときは折り紙や塗り絵、そして今度はアイドルアニメを一緒に見始めたのですが、実はもともとアニメも苦手でした。というのも、自分が子どもの頃に見たアニメって割と話が怖かったり、ドロドロしていたりするものもあったので……」

 娘さんと一緒に見たのは、女の子たちがトップアイドルを目指す『アイカツ!』。「きっとライバルがいじわるする話でしょ、と思っていたら、1話で仲良くなっちゃった。昭和の感覚で靴に画びょうを入れたりするのかと思ったら全然違って(笑)、切磋琢磨(せっさたくま)してお互い頑張ろうよ、みたいな平和な世界観なんです。音楽も子どもだましではない本格的な楽曲ばかりだし、これは追わねば! とはまりました

 そんな『アイカツ!』の中で、耳に残って離れない曲があった。