時間に追われる忙しい毎日も、仕事でうまくいかないことがあったときも、「あの人」のことを思えば頑張れる…。いくつになっても「好き」は私たちにポジティブなパワーを与えてくれます。何かと責任を負う場面が多くなった今のほうが、日常とは別の世界にいる誰かを愛で、夢中で追いかけるひとときがより尊さを増すのではないでしょうか。ARIA世代の女性たちが、大好きな「推し」への愛をたっぷりと語ります。

 フリーランスでアパレルの仕事に携わる中西夕美さんは無類のサッカー好き。Jリーグ発足当時から試合を観戦し、地元の東京にFC東京が誕生すると、J1に昇格した2000年からサポーターとして熱心に応援してきた。

 その一方で、中西さんは1人の選手をプロ入り前から17年にわたって応援し続けている。長年FC東京で活躍し、2018年にV・ファーレン長崎に移籍したDF(ディフェンダー)の徳永悠平選手だ。「私、サポーター仲間から『徳ばあ』っていうあだ名で呼ばれているんですよ。年齢的に子どもの成長を見守ってきた感じもあったかもしれないですね」

V・ファーレン長崎に所属する徳永悠平選手を長年応援している中西さん。手にしているのは、徳永選手が早稲田大学4年生のとき、FC東京に入団してほしいとアピールするためにサポーター仲間で作った思い入れのあるユニホーム
V・ファーレン長崎に所属する徳永悠平選手を長年応援している中西さん。手にしているのは、徳永選手が早稲田大学4年生のとき、FC東京に入団してほしいとアピールするためにサポーター仲間で作った思い入れのあるユニホーム

FC東京の特別指定選手になり、「これは応援しなければ」

 1990年代に中田英寿選手や小野伸二選手が年代別代表で活躍したのをきっかけに、若い世代にも注目するようになっていた中西さん。サッカーの名門・国見高校時代から早稲田大学に進学した徳永選手のことも年代別の試合で目にしていて、そのプレースタイルに好印象を持っていた。そんな徳永選手が大学サッカーと並行してJリーグの特別指定選手としてFC東京の練習や試合に参加するようになると、「自分が推しているチームに関わるのだから」と、本格的な応援を開始。大学サッカーの出場試合をすべて観戦したほか、徳永選手がメンバーに選出されたユニバーシアードの大会を現地で応援するためにトルコまで出掛けた。

 「若い年代は何かのきっかけでぐっと成長するのが面白いところで、熱心に応援している女性ファンがけっこういるんです。そういう人たちと知り合って大学サッカーのことや応援のしきたりみたいなことを教わりながら楽しんでいました」