身の丈に合った楽しみを持つことが人生の豊かさ

 「右肩上がりの生き方を踏襲しようと思ったら老後に2000万円必要かもしれないけれど、その時々の状況に応じてサイズダウンすればいいこと。例えばサッカー観戦を楽しむということで言えば、社会人リーグだったら無料です。節約するところはしつつ、病気にさえならなければ、好きなことにお金を使って、楽しんでいくことが自分流の豊かさかなと思っています

 そんなこれからの生活のためにも、大切なのは働き続けること。ものが売れない時代、特にファッションは若い人の間で「所有からシェア」の流れが浸透し、中西さんの仕事は厳しい状況が続いているが、そうした中で新しいチャレンジを構想している

 「今、若い人たちの間ではスタイリストがコーディネートした洋服を借りられる『エアークローゼット』が人気ですが、そのおばさん版みたいなことができないかなと考えています。

 大手アパレルにいる同世代のデザイナーって、たぶん定年後の受け皿がないんですね。彼女たちは服の扱いもコーディネートも分かっているので、報酬面では前より下がっても、自分が続けてきたことで社会に求められて役に立てたらきっといいはず。そういう人たちを集めて、50代以上の私たち世代に向けたサービスやコミュニティーがつくれたら。

 今の楽しみは徳永選手の現役生活を最後まで見届けることですが、その先にまた夢中になれるものを持っていたいのでね

Message from 徳永悠平
(C)VVN
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 昨年、12年間プレーしたFC東京から出身地のチームであるV・ファーレン長崎に移籍しました。ファンの中には昔から知っている人も多く、そういう意味ではファンとの距離感は近いですね。いつも温かく応援し、支えてもらっていることを肌で感じています。休日の練習には300人以上が来ることもあって、長崎にチームが根付いている実感があります。

 選手として、昔はどちらかというと自分がどれだけいいプレーができたかということにフォーカスしていましたが、FC東京時代にキャプテンを務め、その間にJ2降格の1年を過ごしたことで意識に変化が生まれました。まずはチームのため、勝つために自分に何ができるのかということをより考えるようになったと思います。また、若い頃は負けん気が先に立っていましたが、年齢を重ねるにつれて、自分と向き合い、楽しむことを大切にしたいと思うようになりました。

 V・ファーレン長崎はJ1への昇格を目指していますが、今シーズンの序盤から中盤までは課題だらけでした。監督が代わってサッカーの方向性も変わり、それを選手が理解するのに時間がかかったのも1つです。でも、ようやく自分たちのサッカーが形になりつつあり、結果もある程度出てきています。今は結果を出し続けるしかありません。その中でディフェンダーである自分の役割は、まずはしっかり失点をゼロに抑えること。苦しい時間帯に体を張り、自分なりのやり方でチームを鼓舞し続けたいです。

 そのためにも、日ごろからしっかりトレーニングをすることが欠かせません。どれだけ年齢が上でも、しっかり準備してピッチの上で結果を出すんだということを、特に若い選手には見てもらいたいと思っています。

 最近よく思うのは、ベテランになると責任など背負うものは大きくなっていくけれど、結局は自分がどう楽しく明るくやるかというのが大事だということ。その姿を見て、周りの選手が感じる部分はあるだろうし、チームは自然と同じ方向を向くようになっていくものです。責任を意識するあまり楽しむことを忘れてしまうのはよくないと思います。ARIA世代の皆さんも、まずは自分自身の人生を楽しみましょう!

取材・文/谷口絵美(日経ARIA編集部) 写真/花井智子

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