仕事で年下の言葉に落胆 でも「まあいいや」と思える

 徳永選手は今年36歳。選手としてはベテランの域だ。「この年齢まで試合に出続けるのは並大抵のことではありません。本人は頑張っているとは言わないタイプですが、ケガをしないための頭と体の使い方は、日ごろの努力やストイックな生活がなければ実践できないはず。だからこそリスペクトできるし、応援したくなります

 長崎への移籍後も中西さんはできる限り現地観戦を続けているが、最近は同居する母親の認知症が進み、それもままならなくなっている。以前の自分だったら、思うようにならない状況をさみしく思ったかもしれないが、今は「仕方がないこと」と受け入れられているという。

 「私の仕事は、商社の委託を受けてアパレルメーカーからOEM生産を受注し、縫製工場への発注やデリバリーなどを管理すること。長くやっていると、取引先であるアパレルのデザイナーがだんだん年下になって、私に対し『こんなお母さんみたいな年齢の人が商談に来て大丈夫なんですか?』と人づてに言われたりすることも出てきました。仕方のないことではあるんですけど、やっぱりへこみますよね。

 たぶん仕事だけの世界で生きていたらくよくよしていたと思いますけれど、週末に試合観戦に行けば、サポーター仲間には年上の人もいれば大学生もいるし、年齢や肩書に関係なく楽しく話ができる。うまくいかないことがあったり、孤独を感じることがあったりしても、違う世界があれば『まあいいや』って思えます

 仕事の波、更年期、親の介護……さまざまな悩みはあっても、その状況の中で楽しく生きられればいい。それは、長年の応援生活があったからこそ思えるようになったことだ。

「つらいことがあっても、応援することで元気になれる。他人から見たらバカみたいな熱の入れようかもしれませんが、『バカは窮めてこそ本物だよね』と仲間とよく話しています」
「つらいことがあっても、応援することで元気になれる。他人から見たらバカみたいな熱の入れようかもしれませんが、『バカは窮めてこそ本物だよね』と仲間とよく話しています」