人を大きく分けたら、夫と依田さんは同じタイプ

 以前は仲良しの息子さんが主に話を聞いてくれたが、社会人となって独立した今は、夫が聞き役をバトンタッチ。二人とも小林さんのことを一歩引いて見たりせず、応援してくれている。

 「夫は『今日中継先どこだった?』って聞いてくれますし、近くに依田さんが来ていることが分かって中継先に出掛けるときも、快く送り出してくれます。

 私の中では人を大きくいくつかのタイプに分けたら、夫と依田さんは同じところに入るんです。共通項は、穏やかで優しそうなところかな。『あなたと依田さんは同じ系統だよ』っていうことをきちんと説明しているので、嫉妬はありませんね(笑)」

 毎朝テレビをつけるだけで「今日はどこにいるかな?」とイベント感が味わえて、早起きも苦にならず、生活にも張りが出る。忙しい日常を楽しくする「依田さん効果」は絶大だ。それだけに、小林さんが出張で番組が放送されていない地域にいるときは残念な気持ちになる。「それと、たまにゴルフの中継で番組がお休みになることがあるんですよね。それを忘れていて早朝にテレビをつけたときのがっかり感といったらありません!」

Message from 依田司
 朝の番組で外に出てお天気中継を担当するようになったのは2011年4月、東日本大震災から3週間後のことです。世の中が暗く沈んでいる中、会社や学校に行く前にほんの少しほっこりしたり、くすっと笑ったりしてもらえたらという思いで始まったコーナー。その気持ちは今も変わりません。

 毎朝どこから中継するのか楽しみというのはよく言っていただきますね。早いときは夜中の12時過ぎに局を出発して中継地に向かいます。僕は「ドラえもん」ののび太くんと一緒で、いつでもどこでも寝られるのが特技の一つ。不規則な生活ですが、体の調子もいいし、仕事がものすごく楽しいんです。

 最近では朝5時台の放送を見て6時台からけっこう中継地に人が来るようになっていて、皆さん、「親戚のおじさんが来た」みたいな感じで接してくれます。あと、自分の備忘録として始めたインスタグラムにもコメントをたくさん書いてくださる。お天気キャスターをやっていても一方通行ではやっぱり寂しいですから、こういう反応があるのはすごくうれしいし、やりがいにつながっています。

 僕はテレビはエンターテインメントだと思っているので、単なる天気予報だけではなく、中継ならではの季節感や風通しのよさ、面白さを伝えることを意識しています。ちょっと面白いことを言いたいときは、リハーサルでは出さず本番で言っちゃうことも。スタッフもノリがよくて率先して笑ってくれるし、本当に素で楽しくやらせてもらっています。

 今は男女平等とは言っても、家事や子育てをしながら働くということについては女性は男性以上にストレスもかかっているだろうし、ARIA読者の皆さんにも見えないところでのご苦労がいろいろあると思います。そんなときには、部屋にこもらず休憩時間などに外に出て、空を2~3分眺めてほしいですね。

 「あの向こうには何があるのかな」と思いながら雲の先に焦点を合わせて、今度は逆に雲の先のほうから自分のことを見てみる。そうすると、やっぱり人間って小さいな、私の悩みもきっとちっちゃいんだなって思えるのではないでしょうか。

 僕は根っからの前向き人間で、中継先で何気ない食べ物を食べておいしいと思えばそれでちょっと幸せを感じます。皆さんもそういう小さい幸せをいくつも積み重ねながら、時には外に出て空を眺めて深呼吸して、また気持ちを新たに仕事に向かっていただけたらと思います。

取材・文/谷口絵美(日経ARIA編集部) 小林さん写真/花井智子

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