見たことのない繊細な人物表現にくぎ付け

 「美弥さんはエリザベートの夫でオーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフを演じていたのですが、その演技にくぎ付けになりました。

 死刑囚の母親が『死刑はやめて』と陳情に訪れて、それをフランツが却下するシーンがあるのですが、執務室の椅子から立ち上がり涙ぐんで動揺している姿から、本来はすごく優しい人なんだというのが分かる演技だったんです。こんな繊細に表現されたフランツを見たのは初めてで、物語上の見せ場でもないのに一人で号泣してしまいました」

 ようやく心から応援したい人に出会えた! CS放送でショー作品『BADDY』を見てさらに美弥さんの魅力にはまり、ファンクラブに入ろうと思った矢先、美弥さんは2019年6月に宝塚を退団。「ショックでしたが、私が仕事で部署を異動したのがちょうど同じタイミングで、『心細いけど、美弥さんもチェンジの時期だし一緒に頑張ろう』と勝手に前向きな気持ちになったりしていました

 松井さんは、美弥さんの謙虚で優しい人柄と、最初からスター街道まっしぐらだったわけではなく、努力を重ねて唯一無二の存在感を発揮するようになった点に引かれるという。「雑誌のインタビューやイベントでのお話を聞いていると、周りの人への感謝をいつも口にされるんです。それもありきたりの言葉ではなく、人として、仕事人としてこうあるべきだと思いつつもなかなか実行できていないことを、ふっと思い起こさせてくれるように、心に染みてきます。

 あと、美弥さんは性格的に優しく、気が付き過ぎて周りの人のことばかりが気になってしまうそうなんですね。実は私も似たところがあって、会社の面談では共感性や親密性が高いことは長所だと言われたりしたんですが、自分ではもっと堂々とした人が憧れでした。でも、ご自身の立ち位置を見つけて輝いている美弥さんが同じような性格だということをさらっと話しているのを聞いて、自分を肯定できるようになりました

取材のために用意してきたプレゼン資料(!)を見ながら話す松井さん。「後で知ったのですが、美弥さんは涼風さんの大ファンで、しかも私が再び宝塚を観劇するきっかけになった『グランドホテル』では、初演の涼風さんと同じ役で出演。偶然が重なったことに驚きました」
取材のために用意してきたプレゼン資料(!)を見ながら話す松井さん。「後で知ったのですが、美弥さんは涼風さんの大ファンで、しかも私が再び宝塚を観劇するきっかけになった『グランドホテル』では、初演の涼風さんと同じ役で出演。偶然が重なったことに驚きました」