テレビなどで目にする有名人は、いわゆる成功者というか、秀でた方が多いもの。あまり現実味がないし、「自分とは違う」となってしまうので、もっと一般的なレベルで「ああいう年齢の重ね方もすてきだな。子どもがいない人生も悪くないな」と思える人がいるといいですよね。

いつも明るく、周りを励ましてくれる60代の女性

 子どもがいない女性の生き方を応援するグループ「マダネ プロジェクト」の集まりは40代が多いですが、下は20代から上は70代まで、幅広い世代が集まります。その中に会の運営をサポートしてくださっている60代の方がいて、とっても明るいんですよ。いつも生き生きとしていて、「沈んでいたらもったいないよ!」ってみんなを励ましてくれる。

 反対にその方も、参加者から「この間、あなたの言葉で気持ちがすごく救われたのでお礼を言いたかった。またお会いしたかったんです」と声を掛けられたりするんだそうです。そんなことを言われたら、うれしくなりますよね。今、つらい気持ちのただなかにいる人も、そういう時期を過ぎた上の世代も、お互いに刺激を受け合っています。

 もう気持ちの整理がついているかなと思われる60代でも、やっぱり悩みはあります。「60くらいになると、周りが孫を授かり始めるんです。そうすると、改めて孫がいない、子どもがいない老後ということを考えて不安に駆られる。第二の波が来た感じです」というお話をされる方もいます。

 子どもが欲しかった人にとっては、ある時期にスコーンと気持ちが切り替わるというよりは、少なからず火種みたいなものが一生あるのだと思います。それが何かの拍子にぽっと燃えて、また消えてを繰り返す。たまにそういう気持ちが顔を出すことは仕方がないし、別にあっていいと思うんです。そういうことも含めて、「ちょっと先を歩いている人」の話を聞けることは励みにもなります。

「子どもが欲しかった――たまにそういう気持ちが顔を出すことは仕方がないし、別にあっていいと思うんです」
「子どもが欲しかった――たまにそういう気持ちが顔を出すことは仕方がないし、別にあっていいと思うんです」