みんな占いが大好きなのは、人に決めてほしいから

河合 ここに来て、反動のようにコンサバな考え方が世の中にあふれています。道徳教育を復活させようというように昔の価値観にしがみつく原理主義的な人が現れたり、専業主婦志向の20代がまだまだいたり、親から独立できないパラサイトも増えています。男女に関係なく、20歳を過ぎても親と川の字で寝ている、なんて例もあるくらいです。自由で多様化した分、個人の不安も大きくなっています。

 不安を大きくしている要因としては制度の壁が大きいと思います。女性たちの生き方のバリエーションは増えたけれど、制度がなかなか変わらない。夫婦別姓制度しかり、配偶者控除しかり。高度成長期の成功モデルが生んだ制度が相変わらず、生き残っています。

 前回話した、「無自覚に抑圧された自分」に加え、「ライフステージの多様化」、「制度の変わらなさ」。この3つが不思議な三つ巴となって、いまの「生きにくさ」につながっているように思います。

 不安が大きい分、人に決めてもらいたい。だから、コンサバ志向に逆戻りしてしまう。占いもそうでしょう。みんな、占いが大好き。どうしてかといえば、人に決めてもらえば、楽だから。心理療法では自分が決めることを求められるので、カウンセラーがいくら頑張ったところで、答えを出してもらえる占いにはかないません(笑)。

「人に決めてもらいたい」そんな不安感から「答えを出してもらえる占いに走る人が多い」と河合さん (C)PIXTA
「人に決めてもらいたい」そんな不安感から「答えを出してもらえる占いに走る人が多い」と河合さん (C)PIXTA