無限の可能性を求め、「自分探し」をしていた20代とは違い、ちょっと複雑な事情も見え隠れするのが、ARIA世代の自分探し。見晴らしのいい、人生の中央地点に立ちっている(はず)なのに、自分探しに駆り立てられるのはなぜでしょう。前回「自分は必ずしも、自分の内にはいない」に続き、ユング心理学研究の第一人者である臨床心理学者、河合俊雄さんに話を聞きました。終わらない「自分探し」の背景には、私達が日頃、自覚しない不安感があると、河合さんは指摘します。

不安感を大きくするライフステージと多様化と制度の壁

―― 自分の可能性を探していた20代の頃とは違い、ARIA世代の「自分探し」はちょっと訳ありと言いますか、本当に人それぞれです。

河合俊雄先生(以下、敬称略) そうでしょうね。以前なら何歳で中年期、何歳で老年期を迎え、などと見立てができたものですが、いまは単に40~50代といっても、ライスステージとかライフサイクル自体が通用しなくなっています。

 「ARIA世代」と一口に括っても、同じ40代でも子どもがすでに成人を迎えている人がいれば、子どもがまだ2歳の人もいるでしょうし、35歳で1人目の子を出産して、40代で別の夫の子どもを産んでという人もいるかもしれない。ずっと独身の人がいるかと思えば、一生シングルだと思われていた人が高齢で結婚をすることもあるでしょう。本当に人それぞれです。

 ところが、これだけ多様化しているから、みんな自由になったのかと言えば、そうじゃない。

終わらない「自分探し」の背景には、私達が日頃、自覚しない不安感があると、河合さんは指摘する
終わらない「自分探し」の背景には、私達が日頃、自覚しない不安感があると、河合さんは指摘する