赤坂の雑居ビルの一角にある桃源郷のような「昼スナックひきだし」。紫乃ママのお店に2年ぶりに訪れたのは、ベンチャー企業で残業に追われていた「被害妄想倶楽部」会員No.1の友美さん。真っ昼間からグラス片手に、ナッツをつまみながらの脱力系お悩み相談…いやいや、特濃スナックトークが始まります。
2年前の友美さん・・・「頑張る女性ほど陥りがち「被害妄想倶楽部」から脱却を」
友美 紫乃ママ、お久しぶりです。
紫乃ママ いらっしゃい。あれ、髪色変えたのね、いい感じ。表情もずいぶん明るくなったんじゃない?
友美 はい。実は私、転職したんです!「被害妄想倶楽部」を卒業しましたよ!
続出!「私も被害妄想倶楽部の会員でした・・・」
友美 前の会社を辞めて、7カ月前に規模が大きい会社に転職しました。今は経営企画の仕事をしています。やりたい仕事ができているし、週末もしっかり休めていますよ!
紫乃ママ よかった。本当にあの頃、働きづめだったものね。実はあの記事が出た後、昼スナに「友美さんの話が刺さり過ぎます。私も頑張り過ぎて、被害妄想倶楽部に入ってました」っていう女子が何人も来たのよ。「この人、私かと思いました」ってカウンターでさめざめ泣く人もいたりね。
友美 実は紫乃ママに相談した後も1年ぐらいずっと悩んでいましたけど、状況は悪化する一方で。深夜2時過ぎまで1人で残業する日々でした。転職してきた上司も弁は立つけど、ことごとく仕事ができない人たちで。フォローに追われるばかりで、あまりにもひどいから決死の覚悟で役員に訴えたけど何一つ改善されなくて。
紫乃ママ 功名心が強くて口だけの上司たちにひどい目に遭わされていたわよね。相当ブラックな状態だったと思う。45過ぎて深夜2時まで残業とか、あの世へのファストパスみたいなもんじゃん。
友美 業務に見合うスキルを持った社員がなかなか入社してこないんですよね。何人も入ってはすぐ辞めていき、最後は私がやらないといけない状況は変わらなかった。頑張っている社員もいたけど、訳の分からない役職が付いた偉い人たちが本当に仕事ができなくて。
紫乃ママ 訳の分からない役職の人ね、いるいる。上場したてのベンチャーって有象無象が集まってくる。友美さんがやらないと誰もやらないチキンレース状態だったものね。最初は周りも最後は責任持ってフォローしてくれる友美さんに感謝していたかもしれないけど、後半は「どうせ友美さんがやってくれるだろう」って利用されていたと思う。あの頃の友美さん、「自分がやらなきゃ」って洗脳されているみたいだったよ。
友美 決算があるので、それまでは自分が何とかしなくちゃと思っていました。道義上、決算前には放り出せませんから。
紫乃ママ その「●●までは」っていうのはもはや呪いの言葉だよね。「決算まで」「3月まで」「今年いっぱいは」とか。責任感の強い女子が唱えがち。決算なんて4半期であるし、1つ終わるとすぐまた次の山が来るのに。端から見てて、そんなのキリがない。友美さんの周りには平気で放り出しちゃう人もいるし、その尻拭いの永遠のループだと思ってたけど……。辞めると聞いたときは正直、驚いたのよね。何が引き金だったの?