週1日、昼間だけオープンする桃源郷のような「昼スナックひきだし」。今日も真っ昼間から「意識高い系スナック」の紫乃ママの元に、悩めるARIA世代が心の潤いと福音を求めてご来店。グラス片手に、ナッツをつまみながらの脱力系お悩み相談…いやいや、特濃スナックトークが始まります。寄ってって!

紫乃ママ いらっしゃ~い。何にします?

美保 あ、ビールください。

紫乃ママ はい、どうぞ。あら、初めてのご来店ですよね?

美保 そうなんです。ママにどうしても聞いてほしいことがあって。義母の介護のために会社を辞めたのですが、状況が変わって再就職活動をしています。それがなかなかうまくいかなくって。やっぱり、年齢の壁は高いですね……。

「昼スナックひきだし」は毎週木曜日、麻布十番駅近くで昼間だけ営業中(本当にお店があります)。ひと目紫乃ママに会うために有給を取って来店する人も多数!
「昼スナックひきだし」は毎週木曜日、麻布十番駅近くで昼間だけ営業中(本当にお店があります)。ひと目紫乃ママに会うために有給を取って来店する人も多数!
今日のふらっと来店客/中井美保さん(仮名、47歳、既婚子ども2人)
新卒でベンチャー企業に入社し、リサーチャー&コンサルタントとして勤務。子どもが生まれてからは義母と同居し、助けを借りながらキャリアアップを目指してMBAを取得。その後、一部上場企業に転職。お世話になった義母の介護に直面し、43歳で離職。半年後に義母が介護施設に入居したため、再就職活動を始めたものの年齢の壁に悪戦苦闘。しかも介護中から夫のイライラが激しくなり、夫婦関係にも亀裂が……理不尽に当たられて困惑しています。

キャリアはあっても越えられない「年齢の壁」

紫乃ママ 14年間働いた会社を義理のお母さんを介護するために離職したの?

美保 はい。これまでバリバリ仕事ができたのも義母が子どもたちの面倒を見てくれたおかげなので。だから仕事を辞めて義母の面倒を見ることは「仕方ないか」という思いでした。

紫乃ママ 偉いなぁ。今も介護されているの?

美保 いえ、義母は認知症が進んでしまって介護施設に入りました。それをきっかけに再就職活動を始めたんです。5カ月たつんですが、なかなかうまくいかなくて。これまでしっかりとキャリアを積んできたはずなのに……。やっぱり私と30代の男性がいたら、企業は本音では30代の男性を採用したいんですよね。年齢や性別を開示しない「経歴だけ」のスカウトサイトだと声がかかるんですが、履歴書を送って年齢が分かったとたんに体よくお断りされます。

紫乃ママ そっかぁ、お義母さんが介護施設に入られたのはつらいことでもあるだろうけど、美保さんとしては正直ほっとしたところもあるわよね。そして再就職の「壁」……。人生一筋縄ではいかないものね。それにしても、この「年齢不問」問題、美保さんと同世代の他の人からも結構聞いてます。いわゆる日本の「本音と建前文化」の典型よね。「年齢不問」と言いながら実際はそうじゃないからたちが悪い。書類だけで何社からもお断りされると、人格が否定されたようでめげますよね。

美保 聞いてはいたんですが、正社員が希望なら辞める前に次が決まっているくらいじゃないと難しいんですね。夫の収入があるので、最近は、正社員という立場にこだわらなくてもいいのかも、と思い始めています。