赤坂の雑居ビルの一角にある桃源郷のような「昼スナックひきだし」。紫乃ママと「結婚も出産もしたくない」と言う大学生との白熱トークはまだまだ続きます。自分の価値観を貫きたいものの、マジョリティーではないことへの不安を訴える大学生に、離婚2回、結婚3回の猛者、紫乃ママが「人生はあみだくじ」という金言を贈ります。
(上)産みたくない大学生&紫乃ママ「産める性」のつらさとは
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「結婚したら幸せ」というマジョリティーの圧力
詩織 これから周りの友人たちが結婚して子どもを産み、その結婚式に出たり、SNSで子どもの写真を見たりすることも増えますよね。結婚しないことが自分の幸せだって思うけど、結婚や出産で周りが祝福されているのを見たら、自分がどう思うのかなって。
紫乃ママ 祝福されて華やかなのは一瞬だけだから。SNS映えする華燭(かしょく)の典の後、どろどろの離婚したケースもいっぱいあるし(笑)。結婚も子育ても、日常は地味で大変なことだらけよ。
詩織 結婚したくない、子どもも産みたくないっていう私自身の意思は変わらないと思うんですが、世間からはあんまり理解されない。マジョリティーな人たちの幸せを見たときに、「認められていてうらやましい」って思うかもしれないなと。
紫乃ママ マジョリティーの中にいるのは安心だよね。でも、自分の幸せの方が大事じゃない? それにパートナーシップは相手があってナンボだから今、1人で考えていてもしょうがない。相手が男でも女でも、この人と一緒にいたいなぁという人が現れたときに、その人とどういう関係性を紡ぎたいかは、一緒に決めていくことでしょう。 思った通りに進まないもの、人生は。思いがけない出会いもあったり、なかったり。
詩織 私が結婚したくないと言うと、「いい人を見つけたら変わるよ」みたいに言う人が多くて。そういうことではないのに……。
紫乃ママ そこ、違和感持つのね。でもね、たしかに男女限らず、この先に出会う人によって自分がどう変わるかは分からないよ。人生って「あみだくじ」みたいなもので誰かと出会うたびに線が一本増えていく。そうすると、進む道が変わるでしょ。それは誰にも分からない。変わる可能性があるのは事実だから、それは不確定なものだと思っておけばいい。不確定なのが確定、的なね。
隣の女性客 思わぬ外部要因が自分を大きく変えることって、ありますよね。
紫乃ママ そう、だから人生楽しいのよ。詩織さんはまだ、これから社会に出て経験を広げていく段階にあるから、価値観が変わっていくこともあるし、それを恐れないほうがいい。