赤坂の雑居ビルの一角にある桃源郷のような「昼スナックひきだし」。『昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』を出版した紫乃ママの元に、今日はメガバンクを辞めて転職した男性2人がご来店。真っ昼間からグラス片手に、ナッツをつまみながらの脱力系お悩み相談…いやいや、特濃スナックトークが始まります。
(上)メガバンクの出世コースを降りた40代 辞めて開けた道 ←今回はココ
(下)脱メガバンクをした40代2人 この転職が最後じゃない
紫乃ママ いらっしゃい。堤さん、お久しぶりね。転職したんでしょ、その後どうしてたの?
堤 それがね、ママ、めちゃくちゃ充実してるのよ。今日は同じ銀行を辞めた転職仲間を連れてきたんだ。
紫乃ママ あら、小堺さんも! 何年ぶり?
小堺 2年ぶりですよね? 僕も結局、この春に銀行を辞めたんですよ。2年前、もやもやしているときに、紫乃ママから堤さんを紹介してもらったんですよね。堤さんにはそれから何かと相談に乗ってもらいました。
「年収は1500万円以上」に担当者が苦笑い
紫乃ママ 同じ銀行だったから何か参考になるかと思ってね。でも、小堺さんも会社辞めたんだ。小堺さんは若いし、さすがにまだ辞めないだろうと思っていたけどね~。堤さんは転職活動で意外に苦労していたわよね。2年前くらいでしたっけ?
堤 そう、俺は48歳のとき。エージェントに登録して50社以上エントリーしたけど、ほとんど落ちてへこんでいました。
紫乃ママ そうそう、私、そのとき堤さんに「銀行員は世間知らずだね」って言っちゃったのよね。すごく知性派だけど、世の中の人がどれくらい給料もらっているかとか全く知らない。
堤 転職エージェントに紹介されたあるベンチャー企業の面談で開口一番「年収は1500万円以上ないと困るんです」って言ったら、「はは、堤さん。うちは社長もそんなに給料もらってないです」って苦笑いされた。その挙げ句にエージェントからは「今の状態なら、銀行を辞めなくてもいいんじゃないですか」って言われるしね。
紫乃ママ そうね。あの時さ、50社落ち続けて「生まれてきてすみません」ばりにへこんでいたし、銀行だって別にすぐに辞めなくちゃいけない状況でもなかったから、「社会勉強したら?」ってことで、社会人大学のビジネススクールに行くとか、プロボノをすることを勧めたのよね。
堤 紫乃ママに聞いてすぐ、その2つは実行しました。意外に素直なんですよ(笑)。おかげでいろいろな会社の人とのネットワークができて、銀行以外の世界を知ることができた。プロボノではコピーライターやコンサル、SEの人たちと一緒にNPOのプロジェクトを手伝ったけど、やってみて初めて、自分の視野がいかに狭かったかを痛感したよ。
紫乃ママ 随分と選択肢が広がりましたよね? でもやっぱり転職した今のベンチャーも、最初は希望より年収がだいぶ低いって行くかどうかを迷っていたよね。