週1日、昼間だけオープンする桃源郷のような「昼スナックひきだし」。真っ昼間から「意識高い系スナック」の紫乃ママの元に、ARIA世代のエリート女性がご来店。今日のお題は、管理職&50代キャリアのもやもや。グラス片手に、ナッツをつまみながらの脱力系お悩み相談…いやいや、女の本音をぶちまける特濃トークが始まります。今日も話題のオンラインスナックで開店よ〜。

50代からの仕事人生(上)「やりたくない事」をやめる勇気 ←今回はココ 50代からの仕事人生(下)「降りる練習」を始めよう

紫乃ママ あら、いらっしゃい。お久しぶり。1年ぶりくらいかしら? ステイホームなのに、相変わらず服装がパリッとしてらっしゃる。

裕子 家でもお気に入りの服を着た方が気持ちがシャキッとしますよね。紫乃ママ、1年前はいいアドバイスありがとうございました。おかげでつきものが落ちたみたいにスッキリして。実は、紫乃ママに会った後、すぐに会社を辞めたんです。

ふらっと来店客/関口裕子さん(仮名、53歳、既婚、子どもなし)
大手電機メーカーに就職。広告宣伝、法人営業などを経て、数々の新規事業立ち上げに携わる。3年前にゼロから立ち上げた事業が子会社化され、その部長に就任。ところが会社の都合で、全く関係のない子会社へ出向することに。ポジションはよくても所詮「外様」扱い。やりがいも手応えもない日々に悩んでいたとき、紫乃ママのある言葉をきっかけに思い切って退職。IT企業に転職したものの、そこでも新たな悩みの種が……。

紫乃ママ え~、私、何を言いましたっけ? っていうか裕子さん、あのときそんなに悩んでたの?

裕子 悩んでましたよ~。あのころは本当にゲッソリしてました。会社のことで2年以上、ずっとモヤモヤしてたんです。

紫乃ママ そんなに長いトンネルだったのね。人もうらやむ超一流企業の管理職だったのに。

「STAY HOME」期間中は、昼スナックもオンラインでオープン。顔を突き合わせて話すときと変わらないくらい、大盛り上がりです!
「STAY HOME」期間中は、昼スナックもオンラインでオープン。顔を突き合わせて話すときと変わらないくらい、大盛り上がりです!

「大企業だからこそ」の悩みがあった

裕子 大企業だからこその悩みかもしれません。私、3年前に社内で一から新規事業を立ち上げて、そこに骨をうずめるつもりだったんです。それが2年前、年齢を理由に子会社に行けと言われて。お客さんもいるし、責任だってあります。「給料が下がってもいいから残りたい」って言ったんですけど、あっさり却下されてしまって。

紫乃ママ せっかく自分で企画から考えて立ち上げたのに。会社の勝手な都合よね。

裕子 それで泣く泣く子会社に移ったんですよ。会社としては「出向先で部長というポジションを与えるんだから文句ないだろ」って感じでした。でも、心は折れまくりです。

紫乃ママ 裕子さんは「ポジション」がほしいわけじゃないものね。女ってさ、そこじゃないのよね。このデリケートな感じ、会社は分かってないわよね。これからもっと事業を育てていくってときに、離れなきゃいけないなんて。思いが残っちゃうよね。

裕子 「君が立ち上げた部署とはいえ、いつまでも君がいたら若い子がやりにくいだろ。君のポジションは、これから伸ばしたい若いヤツの登竜門にするから」って。事業の成長とか顧客のためじゃなくて、大企業の一つの「場所」としてしか考えられていない。会社のこういうルールの中でこれからも生きていかなくちゃならないのか、とつくづく嫌になりました。

紫乃ママ でも、出向先の子会社も悪い会社じゃなかったんでしょ?