週1日、昼間だけオープンする桃源郷のような「昼スナックひきだし」。紫乃ママの下に、今日はなんと悩める二人の男性がご来店。男の本音をぶちまける特濃スナックトークが始まります。さらに、男性学の論客として注目を集める社会学者、田中俊之さんもスペシャルゲストとして参戦。男の本音も聞いてって!
(上)パワハラ疑惑にメンタル不調で休職…夫たちの心の叫び
(下)妻への愚痴も不満もある。でも、老後の夢は夫婦仲良く! ←今回はココ
紫乃ママ お二人の仕事の話を聞いていたら、なんだか前回はしんみりしちゃったわね(笑)。ARIA世代、女もつらいが男もつらいよ……ところで圭さん、孝太郎さんは家族との関係はどうなの?
「名もなき家事」でマウントを取られる
圭 うちは、まだ子どもは中学生なんですが、高校に進学して手が離れるタイミングで妻が「フルタイムで働こうかな」と言っています。実は、それに戦々恐々なんです。
紫乃ママ え~どうして? その方がいいじゃない。
圭 いや、それは「自分より妻が稼ぐのが嫌だ」という陳腐なプライドでは全くなくて、単純に「稼ぎが半々」イコール、「家事の責任が半々」となることが怖いんです。今、収入が8:2くらいですが、僕は自分では家事の4割くらいやっていると思っていたんです。でも、この前「あんた、ほとんど家事やってないじゃない!」と言われて。
それで自分がやった家事をノートに記録して、次に文句を言われたときに見せたんですよ。そうしたら「名もなき家事」という概念を持ち出してマウントを取られました。だから妻がフルタイムで働いたら家事の分担はどうなるのか。感覚的には7割やらないと認められないのではないかと思うと「無理して働かなくていいよ」と言ってしまうんです。
紫乃ママ ひゃー、夫婦で家事をめぐる仁義なき戦い。近いからこそ、お互いへの期待を捨てきれない。
田中俊之さん(以下、敬称略) 例えば、家事のレベルを下げることで解決してみてはどうですか?「収入を増やす」のと「部屋が多少汚れても我慢する」、これはトレードオフだと思います。奥さんも働き始めたら意識が変わったりしませんか?
圭 いや、そこは妥協しないポイントだと思います。妻はすごくきれい好きなんです。だから僕が掃除しても「これじゃ汚い」っていうクレームをすごく受ける。家事の品質に厳しいんですよ。
田中 なるほど。家事分担の見える化やタスク化はケンカにしかならないのでやめた方がいいですね。仕事の論理を家庭に持ち込むのはよくないです。うちも一回やったらまんまとケンカになりました。
紫乃ママ きっと奥さんのアイデンティティーがそこにあるんでしょうね。「家をきれいにキープしている私」っていうこだわりポイントが。私たちより上の世代の男性は家事をしない人が多いじゃない。だから女性側もそもそも最初から期待しない人が多い。逆に私たちより下の世代は男性も家事をするのが普通になってきている。40代後半の世代は、男女問わず価値観が交錯していて難しいのよね。
田中 育児の分担はどうですか?