肩書が通用しない、自分がマイノリティーになる場に行く

紫乃ママ そうそう、これはお会いしたらぜひお聞きしたかったんですけど、大企業の社長さんって、時間ができると会食やゴルフといったトップ同士の集まりに行くっていうイメージですが、安渕さんは子どもの貧困や人権を扱うNPO団体や、さまざまな社会課題解決を手掛ける若い人たちのお手伝いに行く。大会社の経営者らしからぬアクションというか、かなり特殊な行動パターンですよね。

安渕 ゴルフは30年前に引退しました。才能もなかったし、当時のゴルフ場にはダイバーシティはなかったので。ダイバーシティを大事にするなら、ダイバーシティがない場には行かないようにしないと。そういう場にばかり行っていると、体がなじんじゃうでしょ。自分の肩書が通用しない、自分がマイノリティーになる場所に行かないと。

紫乃ママ あは! 「ゴルフ場にダイバーシティはない」、本当にその通りですね! 日本の「接待ゴルフ」「ゴルフコンペ」の多くは、いわばザ・オールド・ボーイズクラブの社交場ですしね。でもゴルフをしない経営者って珍しいし、自分がマイノリティーになる場所に行くってすごい勇気だなあ。肩書が通用しない団体の手伝いなんてできない、したくないって人のほうが多いと思うんですけど。

「大好きな安渕さんに来ていただけるなんて感激! 2022年も東京の隠れパワースポットでありたい所存です」
「大好きな安渕さんに来ていただけるなんて感激! 2022年も東京の隠れパワースポットでありたい所存です」

安渕 「よく知らないからやらない」というのは思考停止していますね。えたいが知れないなら、自分から知ろうとしないと。知ることで世界も広がっていく。

 僕が問題だと思うのは、日本の大企業の会社員の多くが会社に引きこもっていること。新型コロナウイルス禍で在宅ワークするのはいいチャンスだから、まずは自分の住んでいるコミュニティに参加してみればいい。そうしないと会社を辞めた瞬間に行き場を失ってしまう。定年後じゃなく、40歳以上はもっと社会との接点を持ったほうがいい。自分の仕事と社会の関係も分かるし、もっと相対化して物事が見られるようになります。大事なのはそういう場に行ったときの聞く姿勢。会社以外の場所では、どれだけ人の話が聞けるかが試されていると思う。