桃源郷のような「昼スナックひきだし」。店舗は赤坂に移転し、『昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』を出版するなど、ますますパワーアップした紫乃ママの元に、今日も悩めるARIA世代が心の潤いと福音求めてご来店。真っ昼間からグラス片手に、ナッツをつまみながらの脱力系お悩み相談…いやいや、特濃スナックトークが始まります。寄ってって!
紫乃ママ いらっしゃい。初めてのご来店? 何かお悩みがありそうな顔つきね。
菜穂 そうなんです。紫乃ママに聞いてほしくて。あ、とりあえずビールください。
昇進が苦しみに…「来年は部長だね」が退社のきっかけ
紫乃ママ はい、ビールどうぞ。で、どうしたの?
菜穂 私、1年半前に20年勤めた大きな金融機関を辞めて、友人が経営する小さな会社に転職したんです。「もっと楽しんで働きたい」と思って。でも、転職しても思ったように仕事を楽しめていなくて……。
紫乃ママ なんと! 20年も勤めた大企業を辞めるなんて、すごい勇気ね。何かあったの?
菜穂 管理職も海外勤務も経験させてもらって、会社には本当に感謝しています。でも、実は2年前からずっと悩んでいたんですよね。この先の人生をどうしようって。直接のきっかけになったのは「来年はあなたも部長だね」という声を周囲から聞いたことです。
紫乃ママ それ、パーフェクトな出世コースよ。大企業で部長に昇進するかも? 40代前半で? 女性で? 最高!……じゃないの?
菜穂 ぜいたくかもしれないけど、その「昇進」に全く魅力を感じなかったんです。自分が仕事にのめり込むタイプなのは分かっていたので、もし部長になったらさらに会社のために時間をささげるのかと思ったらどんどん怖くなっちゃって。根回しとか調整に時間を取られることを思ったら本当に嫌で。もっと自分がやりたいことに向き合いたい。そのためには違う場所のほうがいいと思ったんです。
紫乃ママ 権限は大きくなるかもしれないけど、部長ともなるとより組織の意向に従って動かなければいけなくなるものね。しかも男社会バリバリの金融機関。まあ大変なことがいろいろありそうね。しかもその役割を従順に果たしちゃいそうな菜穂さんが見える。
菜穂 「昇進すると見える世界が違う」っていうのは分かっているんですけど、このまま会社にいて昇進することで、自分がどんどん苦しくなると思ったんです。女性活躍推進の波に乗って昇進するという見方をされそうなのも嫌でした。