今やすっかり世間に浸透した「働き方改革」ですが、企業によっては数値目標ありきで改革の本質が置き去りにされるといった実態も浮き彫りになっています。2019年4月には働き方改革関連法がスタート。いよいよ改革の意義を理解した本気の取り組みが求められています。法律施行を目前に控え、国会議員や気鋭の学者が「なぜ働き方改革が必要なのか」を語ったトップセミナー「働き方改革と人生100年時代の企業経営」をリポートします。

 今回のセミナーは、これまで900社以上の企業に対して働き方改革のコンサルティングを行ってきた株式会社ワーク・ライフバランスが主催。会場には規模も業種も多様な約140社の経営トップが集まりました。

 19年4月1日に働き方改革関連法で実施される法改正のポイントとして、同社の小室淑恵社長は、「(1)時間外労働の上限についての規定が、違反すると罰則を伴う法律に格上げ」「(2)違法な長時間労働などが認められたときは、企業トップの責任と自覚を問うため、当該事業所だけでなく本社への立ち入り調査や経営幹部への指導を行う」「(3)翌日の出社までの間に一定時間の休息を確保する『勤務間インターバル制度』が努力義務に」の3点を挙げました。

勤務時間のインターバルが、過労死やうつを防ぐ

 「私がぜひ企業に導入していただきたいのが、インターバル制度です。前日に帰宅してから連続11時間が経過しないと、翌日の業務を開始できない。これは、EUのすべての国で批准されています。日本でも実は既に多くの企業が自主的に義務化し、導入している流れがあります。それは、過労死やうつを防ぐのに最も有効だからです」(小室さん)

 基調講演には、自民党厚生労働部会長である衆議院議員の小泉進次郎さんが登壇。阪急、宝塚、東宝の創業者である小林一三が『働くというのは、本来とても楽しいこと』と語った晩年のスピーチを引用し、経営者の方々に向けて働き方改革の本質を問いかけました。

「国会や霞が関の働き方も伴わなければ社会全体は変わらない。民間の皆さんにはぜひ『官より始めよ』と外圧をかけてほしい」と話す小泉進次郎さん
「国会や霞が関の働き方も伴わなければ社会全体は変わらない。民間の皆さんにはぜひ『官より始めよ』と外圧をかけてほしい」と話す小泉進次郎さん