今やすっかり世間に浸透した「働き方改革」ですが、企業によっては数値目標ありきで改革の本質が置き去りにされるといった実態も浮き彫りになっています。そこで改めて、課題と本気で向き合い、成果を上げている企業に注目。今回紹介するのは、厚生労働省の「イクメン企業アワード2018両立支援部門」でグランプリを受賞した新潟県のサカタ製作所です。2018年10月の表彰式後に行われたパネルディスカッションを編集してお届けします。

男性はなぜ育休を取らない アンケートでは本音が見えなかった

サカタ製作所取締役総務部長 小林準一さん(以下、敬称略) 当社は新潟で金属屋根金具を作っている、社員150名ほどの町工場です。男女比は7対3、男性中心の職場です。男性の育休のことを言い始めたのはかなり前からですが、2014年までの取得者はゼロ。2015年は2名が取得しましたが、これは総務が猛プッシュをして1日だけ休みを取らせ、ようやく作り上げた数字です。翌年はまたゼロ。これはまずいと、2016年末から本格的にスイッチを入れました。

 取り組みを推進したのは、他部署からの信頼も厚い人事部の女性社員二人です。育休取得が進まない原因を探るうち、社内に休みづらい雰囲気があることが分かり、詳しい事情を知るため記述式のアンケートを実施しました。しかし本音を書きづらいのか、実態は見えてこなかった。そこで個人面談をして、社員の心の中にあるモヤモヤを地道にヒアリングし続けました

 そうした活動を経て決めたのが、「社員が育休を申請しなくても休める仕組みを作ること」です。

パネルディスカッションでは、サカタ製作所総務部長の小林準一さんの他、同じくグランプリを受賞した日本ユニシスダイバーシティ推進室長本間美賀子さん、大正大学准教授の田中俊之さん、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんが登壇。司会は日経ARIAの羽生祥子編集長が務めた
パネルディスカッションでは、サカタ製作所総務部長の小林準一さんの他、同じくグランプリを受賞した日本ユニシスダイバーシティ推進室長本間美賀子さん、大正大学准教授の田中俊之さん、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんが登壇。司会は日経ARIAの羽生祥子編集長が務めた