羽生祥子編集長(以下、敬称略) 田中俊之先生、サカタ製作所の取り組みについてどこがすごいと感じましたか。

大正大学心理社会学部准教授 田中俊之さん(以下、敬称略) わざわざ社員たちに直接ヒアリングを行った点に意義があったのではないでしょうか。アンケートというのは、回収した時点で「今社員はこういうニーズを持っています」と答えを出したことにしてしまい、そこから深掘りをしないケースも多く見られると思います。サカタ製作所では、社員と膝を突き合わせて話をして、信頼関係が醸成されていく中で取り組みが推進された。直接会って話すことの意義を我々はしっかり考える必要があると思います。

シンポジウムの司会を務めた日経ARIA羽生祥子編集長
シンポジウムの司会を務めた日経ARIA羽生祥子編集長

誰かが欠けても仕事が回るようにする意識が浸透

ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵さん(以下、敬称略) ぜひ聞いてみたいのですが、こうした男性の働き方改革や育休取得といったことは、業績に余裕があるからできるのではないかという見方もあると思います。社長が「業績が落ちてもしょうがない」と宣言されたとのことですが、実際はいかがでしょうか?

小林 2017年は前年に対して増収増益でした。工場もメキメキと業務効率が上がっています。これまでは人が足りなかったらすぐに補充という考え方だったのですが、いない中でどうしたらよいかと考える風土が定着して、標準化、多能工化が進んだように感じています。1、2名がインフルエンザにかかったり、突発的に休んだり、といったことは誰にでも起こり得ること。そうしたときに会社としてフォローできる体制を築いておくようになったと思います

羽生 サカタ製作所さんの働き方改革には、かなりスパルタな側面もあるんですよね(笑)。聞かせてもらえますか?