小林 町工場では社長の言葉が何より影響力を発揮するので、仕組み作りに先立って、「育休を取得した社員を高く評価する。推進してくれた管理職にもボーナスを支給する。これによって業績が落ちても、それはしょうがないことだ」と言ってもらいました。これで一気にスイッチが入ったと思います。

「人材の獲得に苦労している中小企業だからこそ、イクメン企業と言われることで社員が活性化し、業績も向上するといういいサイクルをつくっていきたい」と話すサカタ製作所の小林さん
「人材の獲得に苦労している中小企業だからこそ、イクメン企業と言われることで社員が活性化し、業績も向上するといういいサイクルをつくっていきたい」と話すサカタ製作所の小林さん

本人が申し出る前に「安心して休め」と上長が口説き落とす

 仕組みとして効果が大きかったのは「三者面談」と「給与シミュレーション」です。三者面談は、本人が休みたいという前の段階で行います。「休んでくれないと困る。仕事もちゃんと後任に引き継ぐから心配しないで休んでくれ」と役員や上長が口説き落とすわけです。推進スタッフが事前に不安なことをヒアリングしているので、一方的な押し付けにならずに的確なアプローチができます。

 また、社員が最も心配なのは「評価は下がらないのか、どのくらいの収入が保証されているのか」という点です。給与をシミュレーションして「何月にどれくらいもらえる」と具体的に伝えることが、一番の安心につながったのではないかと思います。

 当社は2015年に残業ゼロを打ち出し、今は残業をしないことが当たり前の雰囲気が浸透しています。そして2017年、2018年はベビー・ブーム。取り組みを進めた結果、2年連続で6人の男性社員が育休を取得する予定です。