「予約の取れない美容師」として女性たちから絶大な支持を集めるTWIGGY.オーナーの松浦美穂さん。「未来に残せることしかやらない」と決め、本当に大切な美のあり方について伝えられるサロンをつくると決意して30年余り。美容業界のトップを走り続ける松浦さんが今、伝えたいこととは? いよいよ連載最終回、松浦さんがARIA世代に送る熱いメッセージをくれました。

自分を超える挑戦なら、受けて立つ!

編集部(以下、略) 改めて、伺います。松浦さんにとって、「美容師」とは? 

松浦美穂さん(以下、松浦) 美容師の役割は、「伝えること」。私はずっとそう思っているんですよ。

 ヘアスタイルには、メッセージが宿る。その時代ならではのメッセージが。だから、ヘアスタイルをつくることは、その時代を伝えることであって、時代が伝わるヘアスタイルをつくれる美容師であることにこだわりたい。そこは絶対に譲れないし、諦めちゃいけないなって。

 時代は常に変わるから、伝えるべきメッセージも変わり続けて、「これで完成」というゴールもない。やっぱり、ずっと“自分超え”への挑戦ですね(笑)。大変と言えば大変だけれど、自分を超える挑戦なら「いくらでも受けて立つ!」と燃えるんです。

「ただキレイな髪という退屈な考え方はもうやめましょう、遊びましょう! だけど頭皮は守りましょうね。髪は頭皮から生えるのです」と20年前から訴えていた松浦さん。今、頭皮ケアは常識になりつつある
「ただキレイな髪という退屈な考え方はもうやめましょう、遊びましょう! だけど頭皮は守りましょうね。髪は頭皮から生えるのです」と20年前から訴えていた松浦さん。今、頭皮ケアは常識になりつつある

―― 松浦さんにヘアスタイルを委ねる顧客には、それぞれに自分を解放して、「今の私が好き」というパワーを発散している方が多いという印象を受けます。例えば、国際的に活躍しているジャズピアニストの上原ひろみさんも長いお付き合いだとか。

松浦 そう感じてもらえていると、うれしいです。ひろみちゃんとはもう20年以上になるお付き合い。彼女は私よりうんと若いのに、本当の意味で自分の足でちゃんと立ち、世間の評価に惑わされず強く生きる女性として尊敬しています。

 彼女の存在を初めて知ったのは、ひろみちゃんが結婚した直後くらいでしょうか。