アリスちゃんはもともと、石狩の雑木林で同じ犬種の別の2匹と一緒にいたところを保護団体のスタッフに保護されました。当時妊娠していて、おそらく遺棄された繁殖犬ということでした。つらい経験の末、志田さんのもとにやってきたアリスちゃんでしたが「本当にお利口でかわいくて。こんなにいい子、私がもらっていいんですか? っていう感じでした」と志田さん。ただ、一つだけ気になることがありました。「おしっこは1日に1回だけ、それも我慢していたかのように大量にするんです。体によくないからいつでもしていいんだよ、って言っても変わらない。うんちもなかなかしないと思ったら、長男の部屋で隠れてしていました。
困ったなと思いつつ、あんまり怒るとかわいそうなのでこちらにも遠慮があって。でもあるとき、車で一緒に出掛けた帰りに助手席でおしっこをしたことがあって、そのときは私も子どもに言うのと同じように、大きな声で叱ってしまったんです」
ところがそれを境に、アリスちゃんはおしっこもうんちも問題なくトイレでするようになりました。「この話を保護団体の人にしたら、『試していたのかもね』って。保護犬って、そういうことがあるみたいですね」
次男のサッカー観戦で一緒に道内を旅する日々
志田さんが北海道で過ごした時間で思い出深いのは、アリスちゃんと道内各地を旅したことだといいます。「次男はずっとサッカーをやっていて、週末は道内各地で試合があるんですね。そのたびに、アリスを車に乗せて試合観戦に出掛けました。例えば帯広で試合があるときは、札幌から3時間半の『ふたり旅』。サッカー仲間のお母さんたちの間でもアリスはおなじみで、『アリスちゃん来たのー?』って声を掛けてくれるんです。
高校3年生のときの道大会もアリスと一緒に応援に行って、息子の学校が11年ぶりに全国大会出場を決めたんですよ。そのときもみんな『アリスのおかげだよ』なんて言ってくれて。うれしかったですね」
お気に入りの時間