初対面からうれしそうに「だっこして」

 国家公務員の文毅さんは全国転勤があり、そのたびに住まいを移していた志田さんたち家族が札幌に引っ越したのは2008年。11年に文毅さんは東京へ転勤することになりますが、「当時は長男が中学に入学したばかり。子どもたちの希望も尊重して、2歳下の次男が高校を卒業するまで私たち3人は札幌に残ることを決めました」。

 それまではずっと公務員宿舎暮らしでしたが、当面札幌に腰を落ち着けることを決めたので、初めて中古のマンションを購入。志田さんにとって念願だった、犬を飼うことができるペット可の物件でした。「飼うなら保護犬をというのは前から考えていました。この年は東日本大震災があったので、最初は飼い主と離れ離れになってしまった犬を引き取ろうかなと思っていたんです」と志田さん。しかし保護団体のホームページを見ていて目に留まったのが、道内で保護された推定2歳のアリスちゃんでした。

 「私は犬種とかに全然詳しくなくて、単純にマンションの規約にも合う大きさの子だし、いいかも? と思って会いに行きました。そうしたら、初対面からアリスはうれしそうにぴょんぴょん跳ねて『だっこして、だっこして』と私のところに寄って来たんです。保護犬でそういうことってあんまりないらしくて、保護団体の方も『あら、珍しいわね』って驚いていました」

 出会って早々、アリスちゃんに心をつかまれてしまった志田さんでしたが、そのときはまだマンションの本契約が済んでいなかったため、一旦は帰ることに。「その日から毎日、ケータイで撮影したアリスの写真を見ては『待っててね』って話しかけていました」

大きな耳と長いまつげがチャームポイント。アリスという名前は、ディズニー好きの長男が「ふしぎの国のアリス」にちなんで付けたそうです
大きな耳と長いまつげがチャームポイント。アリスという名前は、ディズニー好きの長男が「ふしぎの国のアリス」にちなんで付けたそうです
夫の文毅さんがアリスちゃんと一緒に暮らすようになったのは1年前から。「今もだんだん仲良くなっている途中です」と文毅さん
夫の文毅さんがアリスちゃんと一緒に暮らすようになったのは1年前から。「今もだんだん仲良くなっている途中です」と文毅さん