かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

第11回 在賀季代さんと、ハルくん

夫の耕平さん、ハルくんと、自宅前のデッキで
夫の耕平さん、ハルくんと、自宅前のデッキで

信州の農場の「監査役」はお客さんが大好き

 高速道路のインターを降りて車を走らせること数分。周囲に農地が広がる静かな道を進んでいくと、少し奥まったところにぽつんとたたずむ緑色の屋根の一軒家が見えてきました。家の前のデッキでは、白い犬がこちらに向かって必死にほえているのが聞こえます。

 「遠いところをお疲れさまでした」。そう言って出迎えてくれたのは在賀季代(ありが・としよ)さん。傍らでうれしそうにくるくる走り回っているのが、ラブラドールレトリバーのハルくん、9歳です。お客さんが大好きで、先ほども近づいてくる車を見つけて熱烈歓迎してくれたのでした。

 ここは長野県の東部、南佐久郡佐久穂町。標高約1000メートルの山間集落で季代さんは夫の耕平さんと農場「Golden Green」を営んでいます。ハルくんは農場の「監査役」で、業務内容は「癒やし担当」。「ハルくんが来ると前とでは暮らしがまるで違います。ハルくんがいなかったら今ここにいないかもと思うくらい、すべてにおいて救われています

 季代さんと耕平さんが佐久穂町にやってきたのは今から11年前。それまでは東京で、田舎とも農業とも無縁の生活をしていました。

外は寒いけれど、高気密高断熱の家の中は薪(まき)ストーブでぽっかぽか。特等席でリラックス
外は寒いけれど、高気密高断熱の家の中は薪(まき)ストーブでぽっかぽか。特等席でリラックス