毎日の散歩が気づかせてくれた新しい世界
仕事でお客さんと飲み、閉店後も別の店に寄って飲み、家に帰って昼まで寝る生活。猫たちはそんな門馬さんに黙って寄り添ってくれていましたが、犬はそうはいきません。家に来たばかりの頃は数時間おきに起きてトイレの世話をしなくてはならず、猫たちがりんなちゃんの存在になかなか慣れなかったため、昼間は毎日外へ連れ出すように。「そんな生活を始めたら、仕事の後に飲んでなんていられません。必然的に健康的な生活に改善されました」
りんなちゃんとの散歩は思い悩んでいた門馬さんの心身を癒やし、それまで気づかなかった世界を見せてくれました。「冬には足元に霜柱が立って、春になったらツクシが生えて。『もうすぐ桜が咲くな』とか、季節を感じられるようになったんです。あと、朝はよくりんなと一緒にカフェに行ってぼーっとするんですが、以前はそういう余裕もないくらい、せわしなく過ごしていたことにも気付きました」
一方で、猫たちとの関係にも発見がありました。「猫はトイレとご飯と日当たりのいい部屋があれば、私が家にいなくても自由に過ごしてくれるし、それでいいと思っていたんですね。でもりんなが来て私が家にいる時間が長くなったら、猫たちも甘えてくるようになったんですよ。そのとき、本当はさみしかったんだなあって、切なくなりました」
お気に入りの時間