かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。
第8回 福富恵さんと、姫ちゃん、モヒートくん
「私たちはふたりとも猫が大好き。入籍も『猫の日』の2月22日にしたくらいです。いつかは飼うだろうなと思っていましたが、まさかその日が結婚して3カ月でやってくるとは思いもしませんでした」
大手IT企業に勤める福富恵さんは、愛猫たちとの出会いをそう振り返ります。話題の主は、リビングから離れた廊下の奥で、時折「にゃおーん」と鳴きながらこちらの様子をうかがっている、姫ちゃんとモヒートくん(通称モーちゃん、モー太郎)。共に5歳のきょうだい猫です。警戒心が強く、知らない人は苦手。「しばらくして落ち着いたら、向こうから来てくれるかも」との福富さんの言葉に、近づきたい気持ちをぐっとこらえます。
結婚直後、夫が子猫と「運命の出会い」
福富さんが2匹と出会ったのは2014年の5月末、沖縄県の宮古島でした。なぜに宮古島? それは、夫の澁谷和利さんの仕事と関係がありました。
澁谷さんは、NHK「ブラタモリ」のテーマ曲演奏などでも知られるサルサバンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」でベースを担当するミュージシャン。取材に同席してくれた澁谷さんがニコニコしながら話してくれました。
「僕は宮古島の音楽フェスに2005年から毎年参加していて、現地で雑貨店を経営している若者と仲良くなっていました。彼は近所の野良猫に餌をやったり、去勢や避妊手術を受けさせたりするなど無類の動物好き。その年は結婚したばかりの妻も一緒で、いつものようにお店に顔を出したら、そこに姫ちゃんがいたんです」
「よかったら里親になってくれませんか?」と友人に見せられたのは、数年前から世話をしている野良猫が店の中で産んだという生後2カ月の子猫。腕に抱えると、そのあまりのかわいさに、澁谷さんはすっかりとりこになってしまいます。
一方、福富さんは猫が好きだからこそ、最初はためらいがありました。