かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

第19回 田中響子さんと、ネネちゃん

震災後、東京を離れ埼玉の一軒家で一人暮らしをスタート

 池袋まで電車1本で50分弱の距離とは思えないほど、豊かな自然に恵まれた埼玉県飯能市。市の中心部からも、遠くに広がる森の濃い緑が目に入ります。そんな、都心へのアクセスのよさとのどかさがほどよく調和する街で、フリーライターの田中響子さんはミニチュアダックスフントの女の子、ネネちゃんとふたりで暮らしています。

 取材スタッフがリビングの床に腰を下ろすと、すっと近づいてきて隣にちょこんと座るネネちゃん。もちろん目の前に田中さんがいるからでしょうが、初対面の人を警戒する様子もなく、だんだんくつろいだ姿勢に。感情をオープンにして歓迎するのとはまた違う、静かに寄り添ってくれる姿にきゅーんとなります。「かわいいでしょう? なんでこんなにいい子を前の飼い主さんは手放したのか、信じられなくて

 ネネちゃんは推定14歳の元保護犬。7年前に田中さんの元へやってきました。

 「犬は飼いたいと思っていたけれど、都心の賃貸では難しくて、そのままのびのびになっていて。こっちへ来てから本格的に考え始めました」。そう話す田中さんが東京から飯能へ引っ越してきたのは9年前のこと。現在の家はいわゆる昭和の一軒家。てっきり実家かと思ったら、意外な経緯がありました。

 「友人から『私の実家に住んでもらえない?』と持ちかけられたんです。一人で暮らしていた父親が亡くなり、一人っ子の彼女もアメリカ在住なので、このままだと空き家になってしまうということで。ちょうど東日本大震災があって都心の暮らしに不安を感じるようになっていたので、それもいいかもと、借りることにしました

近所のお散歩も、車通りの多いところは抱っこして
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自宅近くの神社はお気に入りの立ち寄りスポット
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