「実際にどうかは分かりませんが、何かをやりたくてもきっとかなわないと思っているように感じられるふしがあったんです。『言ってもお母さんが困るだろうな』と。進路でも、最初は高校を卒業したら就職すると言っていました。でも最後の最後で『やっぱり大学に行きたい』と言い出して、何としても行かせてあげたいと思った。その息子も無事に大学を卒業して社会人。あっという間でしたね」

 そんな息子さんのために、大串さんが目標にしてきたことがあります。まずは、賃貸ではなく持ち家に住むこと。「息子が結婚して家を出た後も帰ってこられる、きちんとした『実家』を作ってあげたい。地元の友達とすごく仲がいいので、賃貸のときと同じ市内であることも必須条件でした」。そして持ち家が実現したら、いずれはずっと飼いたがっていた犬も……と考えていました。

大串さんお気に入りの「座り立ち」ポーズ
大串さんお気に入りの「座り立ち」ポーズ
リビングの一角に置かれたカゴにはマロンちゃんのおもちゃがぎっしり。「通販で毎月届くので、今も増え続けています」
リビングの一角に置かれたカゴにはマロンちゃんのおもちゃがぎっしり。「通販で毎月届くので、今も増え続けています」

ペットショップで一目ぼれ 目標が立て続けに現実に

 賃貸の更新時期と消費税の増税前というタイミングが重なった5年前、何とかローンが組めると分かった大串さんは中古のマンションを買うことを決断します。不動産屋へ足を運んでからわずか1カ月という、自身でも驚くほどのスピード展開でしたが、マイホームに続く「出会い」も予想以上に早くやってきました。

 「引っ越してから1カ月くらいした頃、姉の家でトイプードルを飼い始めたんですね。それで『ああ、いいなあ』と思って、何の気なしに姉の一家や息子とペットショップに行ったら、この子がいて。息子が一目ぼれしました

 一旦は家に帰ったものの息子さんの気持ちは強く、その日のうちに再びペットショップに行って、家族に迎えました。

平日は仕事があるため、散歩は週末限定。土日の15時ごろになると自らリードを持ってきてアピールする
平日は仕事があるため、散歩は週末限定。土日の15時ごろになると自らリードを持ってきてアピールする
近くの住宅街や商店街が定番コース。途中でうんちをしたときは、マロンちゃんは始末した袋を自分でくわえてマンションに帰りたがるのだとか。「その姿を見たご近所さんに『偉いねえ』って褒められます」
近くの住宅街や商店街が定番コース。途中でうんちをしたときは、マロンちゃんは始末した袋を自分でくわえてマンションに帰りたがるのだとか。「その姿を見たご近所さんに『偉いねえ』って褒められます」