ヒナ時代のエサやりで、母性愛に目覚めた夫
ピョロ美ちゃんのお世話には動物好きの夫も積極的で、夫婦でピョロ美ちゃんの話題で盛り上がることもしばしば。そして本人ならぬ本鳥も、会話に参加してくるのだとか。「思えば北海道時代はそれぞれが新しい環境やコミュニティに慣れることに夢中で、東京に戻って鳥と暮らすようになってから、家族の一体感が生まれたような気がする」と大村さんは振り返ります。
自分自身についても発見がありました。「私はきょうだいが兄だけということもあって、年下の子との交流があまりなく、小さい子がかわいいとか、子どもが早く欲しいとか思ったことがなかったんです。でも鳥が家に来て、お世話をするっていいなあ、楽しいなあって思うようになって。小さいものを愛でる気持ちが私にもあったんだと気付かせてくれました」
とはいえ、溺愛ぶりでは夫のほうが上回っているかもしれない、と笑います。
「ピョロ美が来たときはまだヒナ用のご飯をあげる時期で、『あわ玉』という小さな粒のフードをお湯でふやかして数時間おきに与えていたんですね。自分が口に持っていったあわ玉を『ピーッ、ピーッ』って鳴きながら食べる様子を見て、夫は母性愛に目覚めたみたいで。自分のこと『ママだよ~』って言っているんです。じゃあ私はどんな立ち位置なんでしょうね」
取材・文/谷口絵美(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子