かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

第16回 新田まき子さんと、クマちゃん

新田まき子さんと、次男の明くん、長女の結子ちゃん。後ろにあるのは、DIY好きの夫が内装を手掛けた離れ。コンクリートの土台部分はクマちゃんが夏場に涼むのにうってつけだそう
新田まき子さんと、次男の明くん、長女の結子ちゃん。後ろにあるのは、DIY好きの夫が内装を手掛けた離れ。コンクリートの土台部分はクマちゃんが夏場に涼むのにうってつけだそう

 埼玉県東部、周りに田畑が広がる静かな住宅街の一軒家。芝生で覆われた広い庭を、茶色い小柄な犬が元気に走っていました。くりっとした目が愛らしい女の子、クマちゃんです。こちらを見ている表情は、ちょっと緊張気味? 「クマは臆病な子で、散歩で少し人通りのあるところに行っただけでふるえちゃうんですよ。田んぼのあぜ道とかをのんびり歩くほうが好きなんだよね、クマ」。県内で大学職員として働く新田まき子さんがそう言って笑います。

単身赴任で岡山へ行った夫と入れ替わりでやってきた

 新田さんは夫と3人の子どもの5人家族。クマちゃんがやってきたのは3年前、夫が岡山へ単身赴任になって半年ほどたった頃でした。「田んぼの近くで捨てられていたのを、この子が見つけてきたんです。2017年の11月に」と、新田さんが高校3年生の長女、結子ちゃんを見ながら言うと、「11月2日だよ」と横からすかさず正確な情報を教えてくれる中学1年生の次男、明くん。「クマは痩せているけど力はすごく強い」「柴犬ほど大きくなくて、でも小さすぎず、ちょうどいい大きさ」などなど、ぽつりぽつりつぶやく言葉からは、かなりのクマちゃん愛が伝わってきます。

 結子ちゃんも、クマちゃんをなでているときの表情はニッコニコ。この日不在の高校1年生の長男、薫くんは恥ずかしがり屋の穏やかな性格がどこかクマちゃんと似ていて、薫くんがいるとクマちゃんはべったりなのだとか。「おかげさまで子どもたちは3人とも反抗期がなくて。クマがいるおかげで心が癒やされるんでしょうね

 3年前、家族で一番おしゃべりなお父さんがいなくなって、家の中はなんだか静かになっていました。そこへ新たな風を吹き込むように現れたクマちゃん。その出会いは、ちょっと不思議なタイミングでした。

カメラを向けられ、最初は緊張気味のクマちゃんでしたが、次第にリラックスした表情に
カメラを向けられ、最初は緊張気味のクマちゃんでしたが、次第にリラックスした表情に