かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

第25回 田中真理さんと、フーちゃん

極度の人見知りな上に抱っこも苦手というフーちゃん(オス、5歳)。田中さんとのツーショット撮影、頑張ってくれました
極度の人見知りな上に抱っこも苦手というフーちゃん(オス、5歳)。田中さんとのツーショット撮影、頑張ってくれました

 「今、ピンポンの音だけでダーッと3階に逃げちゃいました。たぶん手の届かないところに隠れていると思います」。フリーランスのライター・編集者をしている田中真理さんの家を訪ねると、いきなり残念なお知らせが。愛猫のフーちゃんは相当に警戒心が強いと事前に聞いていましたが、これは過去最高の難易度の高さかも。無事に会えるかしら……。「しばらくすると、『知らない人が家の中にいること』をとりあえず認識するので、それから様子を見に行きましょう」と田中さん。心を開いてもらうのに焦りは禁物。時間をかけてお近づきになれることを祈るのみです。

 田中さんと話をしながら1階のダイニングで過ごすこと約30分、そろそろ行ってみましょうか、と田中さんの案内でそーっと階段を上がると……いた! 田中さんの部屋にあるパソコンの陰からまん丸の大きな目でこちらを遠巻きにじーっと見ているフーちゃん、整ったハチワレ模様が印象的なイケメンです。

さらに滞在時間が経過して、ようやく1階に下りてきてくれたところ。かなり緊張気味です
さらに滞在時間が経過して、ようやく1階に下りてきてくれたところ。かなり緊張気味です

中学校で保護 見てもいないのに息子が「飼いたい」

 フーちゃんと田中さんの出会いは今から6年前。当時中学2年生だった息子さんが「学校で保護された子猫を飼いたい」と言い出したのが始まりでした。

 「親猫とはぐれてしまったのか、学校の外階段に1匹だけでいたそうなのですが、見つけた生徒はすでに家に猫がいて飼えないと。それで副校長先生が『誰か飼ってくれませんか』と学校内に呼びかけたというんです」

 息子さんは子猫を一度も見ないまま飼いたいと主張していたそうで、田中さんは「そんな軽々しく飼いたいって言っているけど、どんな顔で、どんな柄かには興味ないってこと?」「自分が世話するっていうけど、どうせ私にさせるんでしょ?」「もし病気が見つかっても何があっても飼うってことだよ。お金だってものすごくかかるよ」と、半ばつっかかるようにたたみかけたといいます。

 「でもそれは、全部自分に問いかけていたことでもあるんです」。一体どうして?