かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいるARIA世代の女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

第24回 上田志保さんと、コナくん

 「コナとゆっくり一緒に過ごす時間ができたのはここ1年くらいなんですよ」。そう話すのは、東京都町田市で女性専用のマッサージサロンを経営する上田志保さん。上田さんの腕の中では、少し大柄のチワワ、コナくんがくるんと抱きかかえられています。上田さんが歩き回っても、椅子に座って話を始めても、鳴くことも下りようとすることもなくぴったりくっついているコナくん。ここが一番落ち着くと言わんばかりの、幸せそうな表情を浮かべています。

 コナくんは14歳のおじいちゃん。若い頃はよく鳴いて、上田さんの足元にまとわりついたりしていましたが、最近はすっかり寝ていることが増えたそうです。

 上田さんは夫と小学5年生の娘の3人家族。以前は都内で店舗を展開するエステサロンに長く勤めていて、2004年に結婚した当初は勤務先に近い都心のマンションで夫と暮らしていました。その後、上田さんの実家を建て替えることになったのを機に07年に町田市へ転居。1階に上田さんの両親と祖母、2階に上田さん夫婦が暮らす二世帯住宅を建てて、2階の一角にサロンを開きました。

上田さんの腕の中にすっぽりおさまり、リラックス
上田さんの腕の中にすっぽりおさまり、リラックス
このクッションが、家の中で一番のお気に入り
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アイドルの座を奪われ、すねて「家出」

 実家に戻ったら犬を飼いたいとかねて思っていた上田さんは、引っ越して早々にコナくんを迎えました。まだ娘も生まれておらず、階下に暮らす両親たちも含めて大人ばかりの家族構成の中で、愛らしいコナくんはすっかりアイドル状態に。ところが……。「3年後に娘が生まれると、みんなの主な関心が一気にそちらへ移りました。そのことにすねてしまったのか、『家出』したことがあったんですよ。近所の人も心配して一緒に探してくれました」

 上田さんが布団を干そうとドアを開けたすきに脱走してしまったというコナくん。必死に探し回ること数十分、目撃情報が寄せられ、近くの畑にいるところを無事発見されました。

 そんな経緯もあってか、成長した娘さんとコナくんは今も微妙な関係なんだとか。「仲は全然よくないです(笑)。コナは娘にやきもちを焼いてきたし、娘のほうも小さい頃、コナにわっと手を出したり、寝ているコナの上に座っちゃったりしては、かぷっとかまれていたんです。コナからしたら防衛本能でやっていることなんですけどね。お互いのことをずっとライバルみたいに意識しているのかもしれません」