お互いに「子ども」の面倒を見てもらえる安心感

 土屋さんの乳がんの経過は良好で、今はダンクくん、そして金沢さんと小4の息子さんと毎日にぎやかに暮らしています。「私たち、『拡大家族』って言っているんですよ。もともと以前から近くに住んでいて、夕飯を一緒に食べたり夏休みにみんなで旅行に行ったりしていたので、そんなに生活が変わった感じはないんです。ただ、今は金沢が出掛けているときは彼女の息子と一緒にいるし、逆に私が出張のときはダンクの面倒を見てもらえるようになりました

 生まれたときから知っている金沢さんの息子さんには「つっちー」と呼ばれ、二人で一緒に映画に行くこともあれば、家では「ドタバタするなー!」と叱ったりもするそう。そして食べるのが遅いと、兄弟のように遊んだり張り合ったりしているダンクくんを引き合いに出して、「のんびり食べていると、ダンクのご飯が始まっちゃうよ~」とはっぱをかけます。血縁にとらわれず、深い絆で結ばれた人と動物が、一つ屋根の下で助け合いながら生活を共にしています。

 「ルークがいなくなって寂しがっていたダンクも今や『オレ様天国』。私や金沢のところへ行っては、背中を向けて『マッサージしてくれ』って要求するんです。癒やし犬じゃなくて、自分が癒やされたい『癒やされ犬』なんだよね」。そう言ってからっと笑う土屋さんの視線の先には、きょとんとした顔のダンクくん。ふたりの間には、愛情いっぱいの幸せな空気が流れていました。

ダンクくんのごちそう【納豆&馬肉ミンチ】
 土屋さんがダンクくんに用意する手作りご飯は、しいたけの軸や葉野菜の根元などをみじん切りにして、ご飯と混ぜておじやにしたもの。塩分を抑えるため、塩ではなく「茅乃舎」のだしパックで味付けします(グルメ!)。そこに時折トッピングするのが、納豆と生の馬肉ミンチです。「火が入った食べ物だと酵素が取れなくなるので、何を加えようかと考えてこの2つに。鼻が短い犬種は熱中症になりやすいので、馬肉は夏場に体を冷やすのにもちょうどいいんです」。この日は撮影のため、納豆と馬肉をいっぺんに載せた豪華版ご飯が登場。音を立てて豪快に食べるダンクくんの喜びぶりといったら! 「なんかさあ、普段ご飯もらってないみたいにがつがつ食べるのやめなさいよね」と笑う土屋さんなのでした。

取材・文/谷口絵美(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子